*夏の県大会C(VS.華紫斑.3)
後半22分
正処0-0華紫斑
相変わらず正処の選手たちと華紫斑の選手たちが、中盤でボールを奪い合っている。
なんとか華紫斑の選手たちが、巧みに必死にボールを死守しているのに対して、一方の正処の選手たちが、まだまだボールを積極的に強引に奪いに来ていないようだ。
まだまだ中盤から、ボールが移動していかないようであり、正処の選手たちも華紫斑の選手たちも中盤に集まっている。
またしばらくの間、両チームの選手たちが、中盤でボールを奪い合っていて、かなりの時間を経過させている。
この華紫斑の最大の特長は、どの場所からでも、オフサイドトラップが仕掛けられることができる。 そのなかでも、自陣のペナルティーエリア内・いわゆるボックスでのオフサイドトラップが最も得意である。
この後も正処の選手たちが、度々華紫斑の選手たちの巧みなオフサイドトラップに引っ掛かっていたようで、結構苦戦してきたけど―――
後半36分
ここでボールを持った華紫斑のMF⑧の選手が、中盤から前線にいる相手のFW⑪の選手に、そのまま一気にボールをポーンと蹴り上げてロングパスする。
「あっ!?」
「うっ!?」
「ちっ!?」
そこから、かなり前線にいた相手のFW⑪の選手が、すぐにボールを受け取ると、今度は正処のペナルティーエリア手前までいた相手のFW⑩の選手に、そのままボールをスルーパスする。
「……ちっ!」
「ひぇぇ、マ…マズーイ!」
「くっ、来るなら…こい!」
なんと相手のFW⑩の選手が、正処のDF陣の裏をつくスルーパスでボールを受け取り、正処のペナルティーエリアの手前真正面から、すぐさま強力なシュートを素早くする。
「でぇぇい!」
「よし、こい!」
ズドォーン、バシィッ!
確かに強力なシュートだったけど、正処のGKの忍の真正面だったので、両手と身体全体で素早くしっかりガッチリとボールをキャッチする。
「行くぞ、それぇ!」
ここからGKの忍が中盤まで、一気にボールをポーンと蹴り上げる。
トーン、トッ!
丁度ボールの落下地点にいた正処のOMFの恵美が、そのままヘディングで前線にボールを送る。
前線にいた正処のFWの倫が、すぐにボールを受け取り、そのまま素早くドリブルしていき、一気に相手のペナルティーエリア付近まで走っていく。
後半44分
そこで倫が相手のペナルティーエリア内に、そのまま侵入するかと思ったら、なんとボールをヒールパスして、すぐ後ろにいた正処のFWの藍にボールが渡ると同時に、すぐさま高速強烈なシュートを素早くした。
「くらえ、龍将大砲!」
ズドォーン、ドォーン!
「…っ!!?」
なんと言うことなのか!
彼女のシュートは相手のGKが、一歩も対応できないほどに、あっという間にあっさりと、ゴールの右隅に突き刺さるように、勢いよくボールが入ってゴーール!
もう既に後半45分が過ぎていた。
ピィーーーッ!
ここで遂に審判のゴールの笛が鳴った。
後半45分
正処1-0華紫斑
そこでようやく得点が動いた。
後半終了ギリギリで、やっとの思いで正処女学園が華紫斑女子高校から、貴重な1点を奪ったのだ。
なんと言うことなのか!
さすがと言うべきか、きっちり時間内に得点を取る正処女学園に対して、終盤でのオフサイドトラップがほとんど通用しなくなった華紫斑女子高校が、これで遂に敗北するのか…?
「むう、なかなかやるねぇ、正処女学園」
「やっぱり、入れてきましたね? 時間いっぱい使いきって、ウチから」
「ああ、ウチのオフサイドトラップにも、ようやく慣れてきたあたりの1点は非常に大きいな。」
「まぁ、ウチもなかなかやれたと思うけどね。」
「はい、大変貴重な経験ですよね。 この試合」
もう既に敗北を悟ったような感想を述べる華紫斑の監督やコーチたち。
この華紫斑の監督やコーチたちも、今後の課題や対策などを、慎重に精査・検討・調整していくことになるだろう。
後半、華紫斑女子高校のキックオフで試合再開。(P.m.8:55)
また華紫斑の選手たちが、後方でボールをパス回ししていくけど―――
ここで遂に―――
ピィィーーーーッ!!
…審判の試合終了の笛が長く鳴り響いていた。
これで千葉県の県大会第4回戦の試合は終了した。
━公式試合終了━ (P.m.8:55)
両チームの選手たちがピッチ・フィールドから、それぞれの控え室に戻っていく。
華紫斑の選手たちは、だいぶ疲れた様子で巨乳を揺らしながら引き揚げていく。
正処の選手たちは、まだまだイケそうな感じで引き揚げていく。
このまま得点が入らずに、延長戦に入っていたら、あきらかに正処女学園の方が有利であろう。
「ふーう、ようやく1点入ったようだな?」
「ああ、かなり危なかったけどな。 なんとか1-0で勝ちきったことになるな。」
「それにしても、あのオフサイドトラップは、やっぱり厄介だったな。 結局は1点止まりだったからな。」
「ああ、やっぱりオフサイドトラップの対策も必要かもしれないな。」
「やれやれ、やっぱりサッカーは奥深いようだな。」
この試合を終えて、正処の監督やコーチも、それぞれ感想を述べている。
一方の正処女学園側も、今後の課題や対策などを、慎重に精査・検討・調整していくつもりなのだろう。
いずれにしても、これで千葉県の県大会第4回戦の試合において、正処女学園が華紫斑女子高校を見事に破って、そこで遂に県大会ベスト16に進出したのである。
ようやく華紫斑女子高校に勝利した正処女学園は、これで念願の県大会ベスト16となった。




