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暴秦狂楚  作者: 南かずしげ
*練習試合編
17/57

*試合E(VS.羽丙南.5)


 後半、羽丙南女子高校のキックオフで試合再開。 (P.m.8:35)


 少し動揺しながらも、なんとか後方でボールを回していく羽丙南の選手たち。


 ここに来て、同点にされた練習試合(ケース)などはほとんどなく、今までの練習試合が連戦連勝の完封勝利だっただけに、ここで同点にされた練習試合が、この正処女学園との試合が初めてである。

 あの強豪・皇漢女学園に練習試合とは言え、無失点で勝利できた。


 だが今、弱小無名校に追いつかれてしまい、遂に同点にされてしまった。

 この状態で焦り・苛立ちなどの負の感情が敗北を加速する。


 勝利への渇望が失い始めた羽丙南の選手たちに、勝利への執念に燃える正処の選手たちが襲いかかる。


 ボールを持った羽丙南のDF⑤の選手に、FWの藍がスライディングでボールを奪う。


 ザザァーーッ!

 ガァッ!


「―――あっ!!?」


 上手くボールを奪えた藍がドリブルで、同じくFWの倫と一緒にボールを前線まで運んでいく。

 さらに後ろからOMFのシェイナが駆け上がり、三人が相手のペナルティーエリアの所まで走って近づく。


「し、しまったっ!? 戻れぇっ!!」

「み、みんな! 走ってぇっ!!」

「そ、そんな! は、速いっ!?」


 この時になって、羽丙南の選手たちもかなり疲弊しており、慌てて走って急いで戻るけど、なかなか追いつけないようだ。


 疲弊してるといっても、それは肉体的だけでなく、精神的にも疲弊してるようだ。


 またしても相手のペナルティーエリアが誰もいない状態でゴールを守るGKのみである。


「行けーーっ!」


 バシッ、パシッ!


「でぇーーい!」


 まだゴールまで少し距離があるけど、藍が思い切りシュートしてきた。

 だがしかし、相手のGKも横っ飛びで懸命にボールを(はじ)き、ボールがコロコロ転がり、右側に流れている。


「くっ!」


 ここでようやく相手のDF⑤の選手が追いつき戻ってきて、そのまま中盤までポーンとボールを蹴り上げてクリアする。


「いただきぃ~~♪」


 だがしかし、ボールの着地点にDMFの妖香がいて、このままボールを奪うと、すぐに前線にいるOMFのシェイナの所までポーンとボールを蹴り上げる。


「いただきぃ~~♪」


 そこでシェイナがボールを受け取ると、そのまますぐにドリブルで、相手のペナルティーエリアまで駆け上がる。


   後半43分


 戻ってきた相手のDF陣に行く手を(さえぎ)られて前に進めないシェイナ。


 あともう少しで相手のペナルティーエリアの中に入れるはずだったシェイナだけど、あまり慌てた様子がない。


 スゥーー…トン!


 するとシェイナの右側を駆け上がるFWの倫にシェイナがスルーパス。


 パシュッ!


 倫が相手のペナルティーエリアの右側でボールを受け取ると、ゴール手前にセンタリング。


「行けぇっ!」

「―――えっ!!?」 


 なんといつの間にか、DMFの妖香がゴール前まで来ていて、相手のGKが気づかないうちに、強烈なヘディングをする為に素早くジャンプする。

 

 ゴォン、ドォーーン!


 ここで既に後半45分が経過しているけど、またしてもGKが動けないまま、ボールが速く鋭くゴール右隅に入ってゴーール!


 ピィーーーッ!


 審判のゴールの笛が鳴った。


 遂に逆転! 正処の選手たちが喜びを爆発させる中で、妖香だけが静かに無言で小さくガッツポーズする。


「よし!!」


「………」


 一方の羽丙南の選手たちは茫然自失の放心状態である。


 なんと言うことなのか!?

 またしても練習試合とは言え、逆転してしまった正処女学園が勝利する。

 そして、遂に妖香が念願のゴールを決めている。


 一方で途中まで優勢で、今回もまた勝利目前だった羽丙南女子高校は、今回の敗因を分析・修正していくのが、今後の課題になるであろう。


 ピィィーーーーッ!!


 そこで審判のロスタイムなしの試合終了の笛が長く鳴っていた。


 ここで両チームの選手たちが握手をして、お互いの健闘を讃えていた。


「いやぁ~ 今回もなんとか勝てましたよ。」

「いやぁ~ まさか本当に逆転されてしまうとはね。」

「本当に逆転勝利のスペシャリストだね。 正処女学園は……」


「いえいえ、今回もたまたまですよ。 こっちも必死でしたしね。」

「いや、たまたまで勝てるほど、ウチは優しくない。 だから勝ちきれなかったウチらの完敗だね」

「そう言ってもらえて、光栄ですよ」


 こうして両チームの選手たちが、挨拶もそこそこに済ませると、それぞれの控え室に戻っていった。



   後半45分


  羽丙南2-3正処


 ━練習試合終了━ (P.m.8:45)






 正処女学園側の控え室では、


 監督やコーチが選手たちに、シャワーを浴びさせて疲れや汚れを洗い流したり、下着や制服を着替えさせたりしながら、クールダウンや帰り支度をさせてから、自分の学校の敷地内にある特殊な屋内施設まで、専用バスで戻っていった。






 後日、正処女学園のナイトサッカーストライク部のミーティングルームでは、


 新しく部員に加入した2学年の糸井澤茜が自己紹介をしていた。


「皆さん、はじめまして。 2年の糸井澤茜と言います。 得意なポジションはDFです。 宜しくお願いします。」

「こちらこそ、宜しくお願いしますわ。」

「ヨロシクね。 茜ちゃん」

「これでようやく、公式戦出場の最低ラインの14人が揃いましたわね。」


「よし、いいぞ!」


 それでようやく、先発メンバーの11人に交代メンバーの3人の合計14人の公式戦出場の最低条件をなんとかクリアした。



 続いて公式戦用に新調したユニフォームについて紹介する。


 まずホーム・ユニフォームは、黒と白の横縞模様(ストライプ)にブラジャーの方に白のリボンが、パンティーの方に黒のリボンが、それぞれついてる下着(セット)が使用されることになる。

 次のアウェイ・ユニフォームは、ブラジャーやパンティーと、さらにそれぞれついてるリボンも、全て深紅で染めて統一した下着(セット)が使用されることになる。


 下着の機能性・通気性・頑丈度なども、全て改良されている。


 これで公式戦・夏の地区予選大会・グループステージの出場準備が着々と整いつつあった。


やっぱり正処女学園が逆転勝利したぞ!

これで無傷の4連勝である。

これで果たして、夏の地区予選大会を勝ち残れるのか?

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