*試合E(VS.羽丙南.5)
後半、羽丙南女子高校のキックオフで試合再開。 (P.m.8:35)
少し動揺しながらも、なんとか後方でボールを回していく羽丙南の選手たち。
ここに来て、同点にされた練習試合などはほとんどなく、今までの練習試合が連戦連勝の完封勝利だっただけに、ここで同点にされた練習試合が、この正処女学園との試合が初めてである。
あの強豪・皇漢女学園に練習試合とは言え、無失点で勝利できた。
だが今、弱小無名校に追いつかれてしまい、遂に同点にされてしまった。
この状態で焦り・苛立ちなどの負の感情が敗北を加速する。
勝利への渇望が失い始めた羽丙南の選手たちに、勝利への執念に燃える正処の選手たちが襲いかかる。
ボールを持った羽丙南のDF⑤の選手に、FWの藍がスライディングでボールを奪う。
ザザァーーッ!
ガァッ!
「―――あっ!!?」
上手くボールを奪えた藍がドリブルで、同じくFWの倫と一緒にボールを前線まで運んでいく。
さらに後ろからOMFのシェイナが駆け上がり、三人が相手のペナルティーエリアの所まで走って近づく。
「し、しまったっ!? 戻れぇっ!!」
「み、みんな! 走ってぇっ!!」
「そ、そんな! は、速いっ!?」
この時になって、羽丙南の選手たちもかなり疲弊しており、慌てて走って急いで戻るけど、なかなか追いつけないようだ。
疲弊してるといっても、それは肉体的だけでなく、精神的にも疲弊してるようだ。
またしても相手のペナルティーエリアが誰もいない状態でゴールを守るGKのみである。
「行けーーっ!」
バシッ、パシッ!
「でぇーーい!」
まだゴールまで少し距離があるけど、藍が思い切りシュートしてきた。
だがしかし、相手のGKも横っ飛びで懸命にボールを弾き、ボールがコロコロ転がり、右側に流れている。
「くっ!」
ここでようやく相手のDF⑤の選手が追いつき戻ってきて、そのまま中盤までポーンとボールを蹴り上げてクリアする。
「いただきぃ~~♪」
だがしかし、ボールの着地点にDMFの妖香がいて、このままボールを奪うと、すぐに前線にいるOMFのシェイナの所までポーンとボールを蹴り上げる。
「いただきぃ~~♪」
そこでシェイナがボールを受け取ると、そのまますぐにドリブルで、相手のペナルティーエリアまで駆け上がる。
後半43分
戻ってきた相手のDF陣に行く手を遮られて前に進めないシェイナ。
あともう少しで相手のペナルティーエリアの中に入れるはずだったシェイナだけど、あまり慌てた様子がない。
スゥーー…トン!
するとシェイナの右側を駆け上がるFWの倫にシェイナがスルーパス。
パシュッ!
倫が相手のペナルティーエリアの右側でボールを受け取ると、ゴール手前にセンタリング。
「行けぇっ!」
「―――えっ!!?」
なんといつの間にか、DMFの妖香がゴール前まで来ていて、相手のGKが気づかないうちに、強烈なヘディングをする為に素早くジャンプする。
ゴォン、ドォーーン!
ここで既に後半45分が経過しているけど、またしてもGKが動けないまま、ボールが速く鋭くゴール右隅に入ってゴーール!
ピィーーーッ!
審判のゴールの笛が鳴った。
遂に逆転! 正処の選手たちが喜びを爆発させる中で、妖香だけが静かに無言で小さくガッツポーズする。
「よし!!」
「………」
一方の羽丙南の選手たちは茫然自失の放心状態である。
なんと言うことなのか!?
またしても練習試合とは言え、逆転してしまった正処女学園が勝利する。
そして、遂に妖香が念願のゴールを決めている。
一方で途中まで優勢で、今回もまた勝利目前だった羽丙南女子高校は、今回の敗因を分析・修正していくのが、今後の課題になるであろう。
ピィィーーーーッ!!
そこで審判のロスタイムなしの試合終了の笛が長く鳴っていた。
ここで両チームの選手たちが握手をして、お互いの健闘を讃えていた。
「いやぁ~ 今回もなんとか勝てましたよ。」
「いやぁ~ まさか本当に逆転されてしまうとはね。」
「本当に逆転勝利のスペシャリストだね。 正処女学園は……」
「いえいえ、今回もたまたまですよ。 こっちも必死でしたしね。」
「いや、たまたまで勝てるほど、ウチは優しくない。 だから勝ちきれなかったウチらの完敗だね」
「そう言ってもらえて、光栄ですよ」
こうして両チームの選手たちが、挨拶もそこそこに済ませると、それぞれの控え室に戻っていった。
後半45分
羽丙南2-3正処
━練習試合終了━ (P.m.8:45)
正処女学園側の控え室では、
監督やコーチが選手たちに、シャワーを浴びさせて疲れや汚れを洗い流したり、下着や制服を着替えさせたりしながら、クールダウンや帰り支度をさせてから、自分の学校の敷地内にある特殊な屋内施設まで、専用バスで戻っていった。
後日、正処女学園のナイトサッカーストライク部のミーティングルームでは、
新しく部員に加入した2学年の糸井澤茜が自己紹介をしていた。
「皆さん、はじめまして。 2年の糸井澤茜と言います。 得意なポジションはDFです。 宜しくお願いします。」
「こちらこそ、宜しくお願いしますわ。」
「ヨロシクね。 茜ちゃん」
「これでようやく、公式戦出場の最低ラインの14人が揃いましたわね。」
「よし、いいぞ!」
それでようやく、先発メンバーの11人に交代メンバーの3人の合計14人の公式戦出場の最低条件をなんとかクリアした。
続いて公式戦用に新調したユニフォームについて紹介する。
まずホーム・ユニフォームは、黒と白の横縞模様にブラジャーの方に白のリボンが、パンティーの方に黒のリボンが、それぞれついてる下着が使用されることになる。
次のアウェイ・ユニフォームは、ブラジャーやパンティーと、さらにそれぞれついてるリボンも、全て深紅で染めて統一した下着が使用されることになる。
下着の機能性・通気性・頑丈度なども、全て改良されている。
これで公式戦・夏の地区予選大会・グループステージの出場準備が着々と整いつつあった。
やっぱり正処女学園が逆転勝利したぞ!
これで無傷の4連勝である。
これで果たして、夏の地区予選大会を勝ち残れるのか?




