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異世界転生ハムスター  作者: 森林 木々
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8.マシロ

『まさか魔物だったなんて…』


 小鳥と木の実を食べながら、改めて小鳥を観察する。

 私より少しだけ大きい身体に、真っ白な柔らかい羽。頭のてっぺんにある羽だけ、先がくるんと丸まっている。鳴き声はとても澄んでいて、高くて綺麗な声はどこまでも響いていきそうだ。


 小鳥をずっと眺めていると、その視線に気付いたのか小鳥もこちらを向いた。嘴の周りに、木の実の食べかすをいっぱい付けている。


『…魔物、ねぇ…』


 このかわいらしいいかにも無害そうな小鳥が、魔物。種族にベビーフェザーとあったから、まだまだ赤ん坊なんだろうな。進化すると大きくなったりするんだろうか。


 鑑定したステータス欄、以前プチスライムを鑑定したときよりも情報が増えていたから、レベルが最大まで上がると進化するんだと思う。この子は3/5だったから、あともう少しで進化か。

 ちょっと落ち着いたら、この子と一緒に外に出てレベル上げをしてもいいかもしれない。


『とりあえず今は名前かな』


 その前に、この子に名前を付けてあげよう。オスなのかメスなのか全く見当が付かないから、どっちでもいけるような名前にしないとな。

 種族名…から付けると進化したとき訳がわからなくなりそうだし、鳥に有りがちな名前を付けるのもなぁ。

 うーん…真っ白な小鳥、まっしろ…マシロ?オスでもメスでも大丈夫そうな名前だし、わかりやすくて呼びやすい気がする。


『うん、マシロ。マシロはどうかな?』


「ピピ!」


 私が背中を撫でると、小鳥は軽く羽を広げて鳴いた。小鳥にも伝わったのかな。

 私はもう一度鑑定をする。



【名前】マシロ

【種族】ベビーフェザー

【ランク】E-

【レベル】3/5

【HP】16/16

【MP】8/8

【攻撃力】9

【防御力】8

【魔力】7

【素早さ】12

【器用さ】9

【固有スキル】なし

【通常スキル】飛行Lv1、体当たりLv1、つつくLv1、氷魔法Lv1

【耐性】落下耐性Lv1

【称号】なし



 名前の欄がマシロに変更されていた。どうやら小鳥にも伝わっていたようだ。

 これで今から、この子はマシロ。


『よろしくね、マシロ』


「ピュルルルー!」


 マシロのきれいな鳴き声が辺りに木霊した。






「ピピッ!」


 巣穴の外で、マシロが双子の木の根元に生えている雑草を抜いて遊んでいる。プチプチとなる感触が楽しいらしく、次々と抜いては捨てて、抜いては捨ててを繰り返していた。


『呑気だなぁ』


 私もあんまり人のこと言えないけど。のんびり者同士、マシロとは仲良くやっていけそうな気がする。


『さて、と…』


 マシロが外で遊んでいる間に、私は巣穴の改築に勤しんでいた。さすがに今のままでは、マシロと二人(二匹?)で住むにはお世辞にも広いとは言えない。木を削るのはかわいそうなので、根を傷付けないように地面を掘って巣穴を広げていた。

 元々の巣穴の部分を入り口にし、マシロが羽を広げても余裕が出来るように下へ広く掘っていく。穴を掘るのスキルのおかげか私がハムスターだからかはわからないけど、掘ること自体は割りと楽に出来た。問題は…


『土は、頬袋には入れたくないし…』


 私の背後に、掘り起こしたあとの土が山のように詰まれている。土を掘るのは簡単だったが、この土を外に出すのがなかなか大変な作業だった。

 土をまとめて外に出すバケツなんてここにはないし、そもそも私は二足歩行が出来ない。例えあったとしても、バケツを手に持ちながら歩くことは無理だった。


『こういうときに四足歩行は不便だなぁ』


 二足で歩けるマシロが羨ましい。腕はなくても、嘴にくわえれば物も運べるし…って、ん?じゃあマシロに手伝ってもらえばいっか。大きめの木の実の殻に土を掬って、外に出してもらえばいいんだし。


 一旦巣穴の外に出て、遊んでいるマシロを見つける。マシロは私に気付くと、すぐに側に寄ってきた。ほんとかわいいなぁ。


『ごめんね、ちょっと手伝ってね』


 マシロを引き連れて巣穴に入る。私は木の実の殻を口にくわえ、土を掬っては外に出す行為を繰り返してみる。

 最初は不思議そうに眺めていたマシロだけど、私のやりたいことが伝わったようだ。同じように木の実の殻を嘴にくわえ、土を外に出してくれた。私が頭を撫でてあげると、嬉しかったのか一人でどんどん土を外に出してくれる。頼もしい。


 マシロが土を外に出していってくれるので、穴を掘って巣穴を広げる作業もかなり楽になった。

 この調子なら、夜までには面積を確保出来そうだ。ベッドをもう一つ作ったり整地したりは今日中には無理だろうけど、時間はいくらでもある。また明日、マシロと一緒に作業にとりかかればいい。




 ひとりじゃないって、いいな。




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