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皇女の猫【抑制版】  作者: WAKA
アリス篇
47/170

捕らわれのアウレリア 3

こちらは表現を規制させていただいております。


【ノクターンノベルズ】の「皇女の猫【解放版】」に完全な形で掲載しておりますので、そちらをご覧ください。


「わたくし」って変換すると「私」になってしまうんですよね。

一人称の差別化のため、アウレリアは「わたくし」と平仮名明記にしました。読みにくくてすみません。

 アリスはアウレリアの髪を結んでいたリボンをほどき、それを両手に巻き付けた。

 そんなことをせずともアウレリアの両手は動かせないのであるが、きつく縛られるとますます不安が増していく。


「あんたはこれから私のすることに耐えればいいの。さっきみたいに言うことを聞いていればいいのよ、簡単でしょ?」

「・・・・・・」

「返事は?」

「・・・・・・はい」


 アウレリアはクリステルに変わり、幼少から多くの皇務を担っている。皇女としての責務に負われ、気の休まる時間は指で数えるほどしかなかった。辛いことの方が多い日々を過ごした。

 気の強い性格が彼女を支えたが、何よりも耐え忍ぶ力が強かった。そうして自らの感情を殺し、人の言うことを聞くことに慣れていた。


 アリスはアウレリアをよく知っている。立場を理解させてから命令すれば言いなりにできる。

もう一つ。人に愛を向ける人間はそれを利用されると手も足も出ないこと。

 アリスが身をもって知っている。


「なんでこんなことするのって顔ね」


 アリスが言うと、アウレリアはふっと顔を逸らした。


「別にそう何度も心を読んだりしないわよ」


「・・・・・・わたくしは、あなたがわかりませんわ」


「わからないの? 私はこうやって人を支配したいだけよ」


「支配」


「ええ。この世界には300万種もの生物がいるけど、種の頂点としてそれを支配しているのは人間でしょ。ならその人間を全て支配、管理できれば世界を思うままに動かせるってわけ。そして人間を手っ取り早く支配するのは恐怖よ」


「力で押さえつけようとすればするほど、反乱の火種も灯りますわよ」


「へえ、なら聞いてみようかしら。あんたはどうやって国を管理するの?」


「あなたは知りませんのね、愛というものを」


「愛? 知らないわね。お姉さまの影響かしら?」


「それは――」


「あんたがクリステルと連絡取ってたって時点でバレバレよ。結局は姉妹揃って戦争否定ね・・・・・・いいわ、これもエルフリーデには黙っていてあげるから、あんたの考えを言ってみなさい」


「・・・・・・醜いばかりが人ではありませんわ。人を思いやる気持ちに触れた時、それがどんなに嬉しいことか」


「愛に訴えかけるってわけ? お子様ね、何もわかっていない・・・・・・人は醜いわよ。鎖で繋いでおかないと、美しいものを汚さずにはいられない。あんたの言う愛は美しいと思うし、光であるとも思う。でも害虫は光によって来るのよ」


「・・・・・・確かに今、世界は混乱の中にあります。戦争が起きて、多くの人が亡くなりましたわ。けど、全てが終わった時のことも考えなければいけませんの」


「世界は愛だけで変えられない。醜い奴らの食い物にされるだけ。力と恐怖こそが人を支配するのよ。私はためらわない、人間の悪意を抑えるのは恐怖しかない。圧倒的な力で全世界を跪かせた国と成った時、ようやく平和が実現するってわけ」


「・・・・・・」


「というか今の私とあんたの姿がこの世界の縮図でしょうに。世界の真実も知らず、人が何かも知らず、理想ばかり追い求めた結果がいまのあんたの姿よ。ほら、高説ばかりでなく今すぐこの状況をなんとかしてみなさいよ?・・・・・・できないでしょ」


 アウレリアが唇を噛んで押し黙ったのを見て、アリスは微笑んだ。


「無力な皇女様ね。なんだかムカついてきたわ、覚悟してね」


・・・・・・・・・・

 

 アウレリアはクリステルとよく似ている。姉妹なので、金色の髪も青い瞳も同じだ。


 見た目に違いがあるとすれば、アウレリアは髪を肩にかかるくらいまでしか伸ばしていないこと、そしてやや強気なツリ目であることが挙げられる。ふんわりと柔らかい印象の姉と違い、アウレリアは強気できりっとしている。


 けれどアウレリアは十四歳。そのような空気を纏っているが、見た目はまだまだ子供なのである。


 そして目の前に立つアリスもまた見た目は子供だった。


 銀髪の下に翡翠色の瞳を備えた顔立ちは自分とさして違わない少女に見える。アリスを初めて見たのは十年前になるが、その頃から少しも変わっていない。


「なに?」

「なんでもありませんわ」

「この状況で考え事するなんて余裕ね、縛り方がたりなかったかしら。もっと痛くする?」

「いいえ、縛り心地は悪くありません。このままで結構です」

「泣きべそかいてたわりにまだまだ強気ね皇女様」

「泣いてなんていませんわ」

「これから泣くことになると思うけどね」


 アリスはアウレリアの胸に手を当て、一呼吸置いてから指をめり込ませるようにして掴んだ。

・・・・・・・・・・


※アリスによるアウレリアへの凌辱シーンがございましたので、こちらは表現を規制させていただいております。


【ノクターンノベルズ】の「皇女の猫【解放版】」に完全な形で掲載しておりますので、そちらをご覧ください。


こうしたものが苦手という方は、読み飛ばしていただいて何も問題はございません。


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