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皇女の猫【抑制版】  作者: WAKA
アリス篇
43/170

アリス 4

こちらは表現を規制させていただいております。


【ノクターンノベルズ】の「皇女の猫【解放版】」に完全な形で掲載しておりますので、そちらをご覧ください。

言うことを聞けばマリアを助けてやる、その言葉を信じた私はある部屋へ連れていかれました。

 そこで目にしたのは十数名の目を血ばらせた男たち。


「おお、今日はボークラーク家の娘だ」

「さあさあ、皆さん。協議に入りましょう」


 男の一人が手を叩きました。


「まずはあなたのお名前をお聞かせください」


 男の人は紳士らしく言いましたが、私は怖くて何も言えません。


「ボークラークの娘で間違いないさ」


 誰かが笑いながら言いました。


「ではさっそく本題に。この少女を我々はどうすべきでしょう?」

「ボークラークは娘を屋敷から出さなかったらしいが、そうなのかね?」


 こんなに大勢の男性に視線を向けられたのは初めてでした。しかも、どこか様子がおかしいのです。

 恐怖で何も考えられなくなった私は、素直にこくりと頷きます。



・・・・・・・・・・


こちらは表現を規制させていただいております。


【ノクターンノベルズ】の「皇女の猫【解放版】」に完全な形で掲載しておりますので、そちらをご覧ください。


・・・・・・・・・・



 私は放り投げられたベッドから動くこともできません。


 窓から見える月の光を、ぼんやりとした意識で見ていました。窓には変わり果てた姿の私も映っていました。夜空にぽっかりと浮かんだ月と、窓に映る変わり果てた私。月光が溶けて、髪に浸透していくよう。



 指でつまんでみてみると、私の金色の髪は灰色へと変わっていました。


「こんなになっちゃった・・・・・・これじゃ誰も私と気づけないかも」


 ミシっと床が鳴りました。

 誰もいないはずの部屋から人の気配を感じます。微かな衣擦れの音や足音が聞こえます。


「誰?」


 この日から夜になるとおかしなものが見え始めました。

 ぼろぼろの格好をした少女たちです。

 顔も知らない子たちでしたが、窓に映る私の姿と似ていたので、何をされてしまったのかはわかりました。顔には生気がないし、薄い灰色で暗闇の中、はっきりと見えているのでこの世のものではないことがすぐにわかりました。


 不思議と恐くありません。

 幽霊なんて、どうでもいい。

 本当の恐怖は、私が何もかも諦めて死んでしまうこと。マリアを助けられないことです。


「消えてよ。私なにもしてあげられない」


 異音はそれで止みました。

 しかし、次の日の夜も彼女たちは部屋へ来ました。

 部屋の中がおかしなことになり始めました。何か色々なものが集まり、ひしめき合っているのです。彼女たちは何かをこの部屋に招き入れているようでした。


 おかしな音や、声らしきものが聞こえてきます。彼女たちが私の手を掴もうとしたので、振り払いました。そうすると呻き声が部屋の中で響きます。


「触らないでよ、あんた達と一緒になるなんてごめんだわ」


 不審に思ったのか、一人の刑務官が私の部屋に入ってきましたが、悲鳴を上げて出て行きました。

 異様な空気を察したのか、あの人にも見えたのか。


「ねえマリア、あなたは無事なのよね? だって死んでいたらあなたもこの中にいるはずだもの。生きているのよね」


 マリアを助けなくちゃ。

そういえばアリスのお話もまだ最後まで聞けていないのです。またあの優しい声が聞きたい、あの物語を聞きながらあなたと共に眠りたい。


 そして優しいキスを。


 マリア、あなたを愛している。


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