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第11話 “キャンプ”襲撃 4

ブクマしてくださった方ありがとうございますm(__)m

 ジョンは“SAVIORセイヴァー”を疾走させる。

 壊れた街並みを横目に、空から数限り無く降って来る巨鳥の姿をした爆弾フォモール・ビショップを、目につく端から撃ち落とす。

 小規模の群れは右手の短機関銃(サブマシンガン)から、大規模な群れには左肩の“複合型銃(マルチプルガン)砲発射装置(ランチャーユニット)”の束ねられた三つの箱型銃身(ボックスバレル)から吐き出される大量の弾丸によって、こちらも大量のフォモール・ビショップが何も出来ぬままに空中で爆散していく。


「邪魔」


 ジョンは、焦っている。

 何故かは彼自身にも解らない。

 苛立ちは弾丸に乗せ、八つ当た(フォモール・)り対象(ビショップ)にばら撒いていた。

 “セイヴァー”に触れることすらなく爆発し、空中で塵と化すフォモール・ビショップ達。

 いくら彼でも、ビショップの大群を前に直進する事を許されない。

 彼が視認できた全てを撃ち落とす迄には、至らないのだ。

 少女達のいる座標へ向かっていた筈が、大分、東に機体の進路は流されてしまっていた。

 至近で爆発されれば、少年の機体も無傷とはいかない。

 (かかと)機動装輪(ランドローラー)を、バックパックと(ふく)(はぎ)推進器(スラスター)を駆使して、至近で起きるフォモール・ビショップ達の特攻による爆発を、時に加速し、前に、横に飛び跳ね、そして、時に後ろへと跳び退いて回避する。

 ジョンがダン達と分かれてから、未だに五分と経っていない。

 フォモール・ビショップ達はまるで、彼唯一人(ジョン・ドゥ)だけを目標にしているのかと、ジョンはそう思わざるを得なかった。

 次の瞬間、短機関銃(サブマシンガン)の弾倉が空になった。

 空の弾倉を地面に落とし、右腰部装甲の予備兵装端子(ウェポンラック)にマウントされている予備弾倉へ短機関銃本体を叩き付け弾倉を交換した。

 射角が限定されていない為、威力は高いが機体ごと対象に向かわなければならない左肩の“複合型銃(マルチプルガン)砲発射装置(ランチャーユニット)”より、短機関銃(サブマシンガン)の方が使用率が高いのだった。


「邪魔だよ、ホント」


 ジョンは呟き、弾丸をばら撒く。

 不意に、フォモール・ビショップ達の行動が変化を起こした。

 それまで、何も感じていないかのように特攻のみを繰り返していた巨鳥達が、ジョンの向けた銃口を避ける様に成っていた。

 巨鳥にもよるが時折、その口から液化爆薬を吹き付けて攻撃してくるモノまで現れてきた。

 必然、ジョンは自機に、フォモールがより近付いてからの迎撃を余儀無くされる。

 接近して来たビショップへ弾丸をばら撒いていたジョンは、東に機体を向けるとその場の巨鳥フォモール・ビショップ達を置き去りに、機体の全ての推進器を全開にして、全速力で機体を疾走させた。

 釣られる様に巨鳥達はジョン機を追い掛けて来る。


「よし、嵌まったね」


 自分を追い掛けて来る巨鳥達に、ジョンはにんまりと嗤いかけて言った。

 全速力の走行中に、追い掛けて来るフォモール・ビショップ達へと機体を向き直らせ、短機関銃を右腰部装甲のウェポンラックにマウントし、脚部機動装輪(ランドローラー)だけでも出せる全速で後ろ向きに機体を走らせた。

 フォモール・ビショップ達の群へと左肩の“複合型銃(マルチプルガン)砲発射装置(ランチャーユニット)”の銃口を向け、銃身を回転式機関砲(ガトリングガン)形態(モード)から擲弾発射砲(グレネードランチャー)形態(モード)に変形させる。

 長方形の断面をした三つの箱型銃身(ボックスバレル)が外側に広がりつつ、それぞれが時計回りに九〇°回転し、銃身のシルエットが描く六角形の中心に大口径の砲口を形作った。

 砲身に右手を添え照準を微調整し、奥の手のグレネード弾を、敢えて外し気味に発射させる。

 ジョンは機体各部の推進器(スラスター)を全開に、発射の反動に耐えさせた。

 電磁誘導(リニア)効果によって加速された弾体は、自らの重さを感じさせない高速のスピードで直線を描いて飛び、フォモール・ビショップ達の群の中心に炸裂した。

 グレネード弾の爆発は直撃したフォモール体内の液化爆薬を誘爆させ、巨大な爆発を更に派手な物にする。

 爆風による誘爆に次ぐ誘爆に、フォモール・ビショップ達はジョンの頭上からグレネード弾の一発で綺麗に一掃された。

 巨鳥達にも癖がある様で、ビショップの行動パターンが変わってからジョンは群の中心にいた巨鳥をマーキングしており、弾丸をばら撒きながら、そのビショップの回避パターンを解析し、“複合型銃(マルチプルガン)砲発射装置(ランチャーユニット)”の照準と解析したデータを連動させ、グレネード弾を直撃させたのだった。

 その場のフォモール・ビショップ達の最期を一顧だにせず、ジョンは少女達の待つ座標へ向かって機体を走らせた。


「余計な時間を食ったな」


 ジョンは呟き、“セイヴァー(彼の機体)”が走る。





 ジョンが自身にまとわりつくフォモール・ビショップを一掃する少し前、その頃、エリステラ達、ガードナー私設狩猟団SF部隊も戦っていた。

 その時には既に彼女達はダン達との合流を果たしていた。

 何故かフォモール・ビショップ達は少数を残し、大半が何処かへと飛び去ってしまったが、その穴を埋める様に現れた無数のフォモール・ポーンと、それを指揮するフォモール・ナイトの軍勢を相手にしていた。

 先に着いていてもおかしくない、ジョンの姿だけがその場に無かった。

 エリステラがダンへ通信した座標からは、既に随分と後退してしまっている。

 今はエリステラ機とレナ機、ジェスタ機のSF三機が並んでばら撒く弾丸でポーン種の群の頭を牽制し、ダン機は攻撃しつつも搬送車の直衛に回り、狩猟団の面々は目の前のフォモールの軍勢の進行を辛うじてその場に押し止めていた。


「お嬢、レナ、ジェスタ、全員、弾倉交換後はナイト種の牽制を頼む!

 ポーン種は出来る限りで良い!

 なるべく、ナイト種を近付けさせるな!

 あれが一番マズい!

 お嬢、空に残るビショップを次点目標に撃て!

 レナは引き続き牽制、弾丸をばら撒いてくれ!

 ジェスタ、俺とおまえはオフェンスだ!

 交代でナイト種へ牽制しつつ、ポーン種を減らせ!

  作戦開始(Go ahead)散開(Break)!!」


 ダンの号令の下、狩猟団の面々は散開し、行動を開始した。

 ダスティンとベルティンの親子はSF搬送車を二台並べてハンガーを展開させ、即席のバリケードとしている。

 加えて、搬送車の武装架ウェポンラックに残るSF用銃器の銃口をフォモールの群に向けさせ、火器管制を運転席の端末で代用し、簡易的な攻勢防壁とさせようとしていた。

親方は大鑑巨砲主義の気があります。

その息子が作る趣味の兵器は近接偏重変態兵器の予定です。



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