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お嬢様と侍女シリーズ

お嬢様、それは間違ってございます

作者: 猫戸カラス

初投稿、書ききる事を目標にしたため短いです。

「お嬢様、それは間違ってございます」


一体何度目になるのだろうか。

今日もまた私はこのセリフを口にした。






セシリアお嬢様に仕えることになってから1週間。確かに事前情報でちょっと変わっているとは聞いていたが、だいぶナナメをいくお方だったらしい。



「ねぇリリー。好きなもの同士がキスをしたら子供ができるって本当?」


「ねぇリリー。夜な夜な不気味な声が屋敷に響くのは怨霊がいるからって本当?」


「ねぇリリー。うちの庭で育てている植物は毒草でお母様は魔女って本当?」


「ねぇリリー。家出を成功させたら一人前の大人になるって本当?」






このお屋敷の人たちは皆、セシリアお嬢様が可愛くてしょうがないらしい。

病弱なセシリアお嬢様は外に出られず、過保護な人たちはそれこそ俗世の事を知れば穢れるとでも思っているのか15の娘が知っていそうな事すら耳に入れないようにしている。



しかし、人とは噂好きの想像好き。

有る事無い事聞かせるつもりはなくても耳に入ってしまうもの。


純粋なセシリアお嬢様は他の人が疑うような内容でも、信じてしまう。そしてタチの悪い事に周りは否定もせず曖昧のままに終わらせてしまう。


雇用主の旦那様に聞いた時正直バカかと思ってしまった。旦那様ですらお嬢様可愛さに何も言えないというのだから。



あぁ無表情でよかった。

雇用主の前でそんな態度は即刻クビになってしまう。



さすがの旦那様もマズイと思っていたようで私を雇うに至ったらしい。


お嬢様を守ることができ、お世話も出来て、尚且つ知識ある同年代の女の子。



その条件のもと差し出されたのが私だったというわけだ。



雇用主は旦那様。

しかし、全てはお嬢様のために行動する事。

お嬢様を叱る権利があり、世の中の常識というものを教える事。


それが私のお仕事。




なので私は今日もこのセリフを言う。


「お嬢様、それは間違ってございます」





「キスだけでは子供は出来ません。そこに至るまでに段階があるのです」


「不気味な声の正体はコックでございます。夜な夜な料理の研究をしているのですがつい声に出しながらメモを取ってしまうそうです」


「庭の植物は薬草、ハーブなどでございます。お母様はそういったものの知識に長けておいでなので、見る人によっては魔女をイメージしてしまうのでしょう」


「家出とは、そもそも子供がするものでございます。親に反抗したい時にするものです。しかし、外の世界を知って帰ってくるという意味では少し大人になって帰ってきているのかもしれませんね」



そう全てに答えればセシリアお嬢様は目をキラキラさせてありがとうと言うのだ。




「流石リリーね!外出許可が出たら一緒に遊びに行きましょう。約束よ?」



ここのところ体調が落ち着いてきているからきっとお嬢様の願いは叶えられるだろう。


そして、今よりもっと沢山聞かれて今よりもっと大変になるのであろう。




しかし私は、そんな日を心待ちにしているらしい。







続き、出ました。

宜しければ読んでいただければと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言] お嬢様の質問に、逐一答える主人公も、可愛い質問をするお嬢様も微笑ましくって、一気に読んでしまいました。 面白かったですよ。 ほんわかした物語で。 続きがあったら面白いかもです。
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