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缶詰めの夏  作者:
9/16

伍:七番目の子供の夏

 


 よぉ。

 あんた、新人か。


 今日から同室だぜ。

 ここは七番目の部屋だ、もうここには百七人もの子供がいるんだな。 


 笑えるぜ、どんだけ食べるんだよ。


 ......はん?。

 俺の名前か?。


 あんた、珍しいタイプだな。

 めったにそんなこと言われないぞ、大体の奴は怯えているか泣いているか無言なのに。


 ま、いいけどよ。


 名前、ねぇ。

 俺には名前がない。

 そうだな、呼ぶとしたら桜でも呼んでくれ。

 死んだ姉貴の名前だ、俺の名前じゃねーぞ。

 好きに呼べ、けどあの人たちの前で呼ぶなよ、殺されるからな。


 そうそう、俺は誘拐された子供だ。


 もうここには、七年もいるぜ。

 もう歳も忘れたし、誕生日もわからない。

 そもそも何年何か月何日かもわからないのに、そんなの知るか。


 何にもわからない。

 世間知らずな子供さ。


 ここは牢獄という牢獄だ。

 あるものは絶望し、あるものは狂気な取り付き、あるものは光を見る。


 最後のは、まぁ、俺だ。


 俺は親というものに虐待されていたからな。

 ここには食べ物もあるし、言うことさえ聞けば生きられる環境だ。

 勉強やら、めんどーなものもあるが。


 しっかし、あれだよな、まさしく家畜だよな。

 マジ笑えるぜ。


 あ。

 お前の名前聞いてなかったな、なんだよ、お前の名前は。


 ............はん?。

 それまた変わった名前だな。

 なんだっけ、あれ、八番目の部屋の、自殺した奴の名前にそっくりだな。


 ま、適当に呼んでやるよ。


 俺は、七番目の子供だからよ。

 言っておくが、あんたも七番目の子供だぜ。


 七、ラッキーセブンで七つの大罪でも入る七だ。

 一番嫌いな数字の七だよ。


 ちょっと七番目の子供には、ルールがあってよ。

 七番目は死ぬまで食べられないんだよ。

 自殺か自然死。

 まぁいろいろあるが、あいつらには殺されないってわけだ。


 もしかしたら、ここから出られるかもな。

 希望を抱ける七番目の部屋だよ。


 良かったな、えっと、お前。


 ま、同じ部屋になった奴は全員死んだけどな。

 退屈が耐えられなかったんだよ、希望が絶望に変わる瞬間が死になる部屋だ。


 かかっ、あんた、いつ死ぬかな。 


 ま、とりあえず仲良くしようぜ。

 死ぬまで、な。

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