十番目ノ子供の夏
多分、もうダメなんだ。
子供は、満たされず死ぬべきなんだ。
『ねぇ、お□さん』
苦しい。
死にたい。
生きたくない。
だから。
あの人たちは心を持たせたのだと思う。
『......お□さん? 名前わかる?』
わからない。
確か、十番目の子供。
あはは、名前、ないや。
『お□さんは、どうして寝ていたの?』
わからない。
逃げたから?。
君はどうして、こんな所に?。
『僕ね、時々頭が真っ白になるんだ。道がぐにゃぐにゃして、気がついたらここにいたの』
ふーん。
『お□さんが生きていて、本当に良かったよ』
死にたいけどね。
いなくなりたい。
ここにいる所から消えたい。
『どうして?』
どうしてって。
よく、わからない。
『わからない? 、お□さんは僕と一緒で時々頭が真っ白になるの?』
......。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
よく、わからない。
お□さんは、缶詰めにされる予定だったからわからない。
『だと僕も同じだ!』
え?。
『僕のお□さんがね、僕を売るんだって。僕、いらない子なんだって。だから、お□さん、僕を売るんだって』
......ああ。
この子、あそこに行くのか。
『どーゆー場所なんだろうなー! 、僕、楽しみでしたがないんですよ!』
そう、なんだ。
『お□さん、あそこは僕みたいないらない子にはぴったりな場所だそうなんですよ!』
いらない子。
ああ、そういえばいらない子だったなぁ。
逃げ出しても帰る家がないしなぁ、なんで逃げたねかなぁ
。
『お□さんもそこに行くんですよね?』
......。
『お□さんと一緒に暮らしたら楽しいだろうな!』
いや、あそこには、もう、帰らない。
君とは、一緒に暮らせないよ。
『どうして? お□さんも缶詰めになるんでしょ?』
逃げ出してきたの。
缶詰めになりたくないから。
『でも死にたいんでしょ?』
あいつらに食べるくらいなら、ここで無様に死んだほうがマシだよ。
『じゃあ僕と死ぬ?』
なんで。
『いらない子でも、お□さんと死ねたら嬉しいよ』
どうして?。
『僕ね、ヒーローとか、テレビとか、見ているとね。最後は悪役は幸せそうに因縁つけて死ぬけど、ヒーローは絶対生きるんだ。僕ね、それ、おかしいと思ったんだ。ヒーローは悪役は救わない、ヒーローは勝手に世界を助けるんだ』
......つまり、□は悪役だと?。
『そういう意味じゃないよ、ヒーローは皆を救わないってだけで、だから僕ね、ヒーローに憧れているの』
そうなんだ。
『けど、テレビみたいの、ダメなんだ。僕ね、いらない子だから、あんなに必要にされないから。だからお□さんと死んだら、お□は、少しは、勝手に助けて貰えるかなって』
君は。
『だからお□さん、僕と一緒にこの世界から消えましょう』
君は恥ずかしいそうにはにかんだ。
あまりにも__。
告白された、気分だ。