はじまり
────── 私は眠っているのだろう。
眠っている中そう思うのも可笑しな話であるが、瞼も開かない、身体も動かないのだ、ならば、眠っているとしか思えない。
だけども、夢を見ているかと言われれば、それも曖昧な感覚だ。
身体も何も、指一つ動かない。
常時の夢ならば、何かしら場面転換などリアクションがあるはずなのだが、それも無い。
ただ、動かないだけだ。
身体が動かないのに、意識があるのはなんとももどかしい。閉じた瞼の下で眼球を動かそうとするも、それすら叶わない。
おかしな夢だ。
夢・・・そう、夢、なのだろう。
だが、何かしら思考が引っ掛かるのだ。
何よりも・・・いつ眠ったのだろうか。否、それ以前に、眠る前の意識がぼやけてよく解らない。
事故にでもあったか、はたまた路上か何かで眠っているのか。
前者も散々であるが、意識がぼやけている意味も解る気がするがしかし、後者はどうしてもいたたまれない。
嗚呼、早く起きて勉強しなければ。
時間はいくらあっても足りないのだから。
起きなければ。そう思うのに、身体は言う事を聞いてくれない。
段々苛立ちが増してくる。
こんな夢はどうでもいい、早く現状を把握しなければ。
『哀れな小さき生き物よ』
不意に聞こえた声。
誰?
誰の声?
『この娘が理を外れた者か』
何?
何の事?
誰がいるの。
いるなら助けてよ。
救急車でもなんでもいいから呼んで、目を覚まさせて。
『外界の扉を開ける理は設けていなかったはずだが・・・なんとも恐ろしきは人の妄執よ』
『無理矢理扉を創り、こじ開けるとはなぁ・・・』
扉?
そんなの、知らない。
扉を創ったことなんて、無い。
『代償とした赤の雫の鉱石は、主の涙。理を捻じ曲げるのも通り』
『・・・哀れなるはこの娘』
『このまま消えてしまえば苦痛もなくなるだろう』
・・・消える?
何で、どうして。やっぱり、事故にでもあったのだろうか。
だけども、死後意識があるなんて。世に言う幽霊というやつにでもなったのだろうか。
・・・いや、違う。感覚は、有る。
指も瞼も何もかもが動かないけれど、身体の感覚はある。
生きている。
だけど。
────── 貴方達は誰なの、何なの。
『待て、待て。我等にはその摂理は無い』
『是、是。我等が手を下せるのは我等の摂理を侵した罪人のみ』
『その定めは覆すことならぬ』
『・・・否。この娘は理を外れた者。我等の摂理も通用せぬ』
『だから消し去れば良いと?』
『この娘にとってはそのほうが良きことかもしれぬぞ』
『・・・ふむ・・・』
・・・何ふざけたこと言ってるの?
消すって何。
殺すってこと?
・・・何言ってるの。
私は生きている、生きている!!!
勝手なこと言ってんじゃねェ!
『待て。待て。皆、忘れるな。この娘が構成されようとする今、理は既に曲げられておる』
『綻びか・・・』
『理を外れた存在に、我等が手を下せば更なる綻びを生むだろう』
『我等は修復、そして更なる規約を設けねばならぬ』
殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで!!!
『・・・外界の娘よ。哀れなる娘』
『我等主でさえ時は戻せぬ。界はこの娘を受け入れる他選択はない』
『この娘も界を渡るしか選択肢はない』
『死するか生くるか、答えは時が下そう』
ドン!!!
鈍い衝撃が彩花の身を襲った。
突き飛ばされたような感覚に、しかし身体は動かない。
彩花は落ちる感覚を味わったが、次の瞬間、身体を分解されるような激痛を味わった。
嗚呼、嗚呼嗚呼!!!
身体が、崩れていく。
叫びたいのに、声が出ない。
ただ脳内で彩花は絶叫した。
痛い痛い痛い痛いイタイああ、嗚呼ああ痛い痛い痛い痛い、痛い痛いイタいいたいイタイイタイああイタイイタイイタイぃいいいいいいいい!!!!!!
『不完全な扉の負荷に耐えられるのならば、罪人の思惑通りお前の身体は界に馴染むよう再構成されるだろう』
『ただし、主の管理より外れしことには間違いない。所詮は人の扉なのだ、身体は馴染んでも界の住民のようにはいくまい』
『歪なものでしかないであろうが』
やめてやめてやめてやめて、嗚呼嗚呼あああああやめてやめてやめて死ぬやめてやめてやめてよぉおおおォォおおおおォ!!!
『時は動き、界の扉は開かれた!!』
嗚呼ァ嗚呼、嗚呼嗚呼嗚呼ぁ、ぁア、アぁ嗚呼あァあ嗚呼、嗚呼あァアあ、ああァ、イタァ、ァ、嗚呼呼嗚呼ぁぁアアぁ嗚呼あぁ厭あぁ!!!!!
『・・・哀れなる脆弱な娘』
『まかりならん道理を恨むも呪うも、その権利をお前は有する』
再び、衝撃。
そして・・・暗転。
これにて挫折しました・・・
一応荒筋は獣の森に召喚。子供狼と対決後従えて1年で東の森制覇。(大きくなった魔狼のおかげ)
その間焔の中のヘルムートの骨と対談、殺意と荒んだ眼をゲット!
人に見つかり迫害。魔狼以外のすべてを呪う荒んだ心もゲット!
逃げた先が魔族さんがいるところで、彩花ちゃんには魔法も毒も効かないことが判明。ある種の物理攻撃はあまり効かない。
再構成された際、彩花ちゃんの元の世界にある物質以外は傷つけられない(ある種の物理攻撃以外は普通には効く)歪んだ存在のミラクル少女に。(毒草とか色々遺伝子が違うし金属も鉄以外は元の世界にないし魔法も無いから。そのかわり、彩花ちゃんにも使えない。食べ物の消化はご都合主義)彩花ちゃんニヤリ笑い。
なんか寝てるうちにヘルムートが焼け焦げながら出てきた。
ヘルムートの夢を追ううちに過去を見て、原因の存在であることを知る。ヘルムートに復讐できないから、ヘルムートをゆがませた帝国トップどもに矛先を向けて、絶対殺すと誓っちゃった。
・・・と、ここで煮詰まって先に進めませんでした・・・
そして煮詰まったと同時に、思いました。「これ、面白くもなんもネぇな」と。