第六話 公式がやらないのなら、二次創作すれば良いじゃない✨
“The course of true love never did run smooth.”
――真実の恋の道は、決して平坦ではない。
シェイクスピア『真夏の夜の夢』
*
今まで、ただ、ムカつくだけの銀髪野郎が、一瞬後光の射す神に見えた。
俺の嗜むニケル✕アーシュを制作してくれる奴は大体神だからだ。
腐ったオタクとしては、これは致し方ない。
公式イラストで二人が並んでるアクスタは大体買った。別々に売ってるのは、ニケル左、アーシュ右で部屋に配置してる。
ここは古巣じゃねぇから、具体的な説明は省くが、ここ読んでる奴は大体わかるな?
てか、全部言わすな、恥ずかしい!!!
「いや、待て、二次創作と言ってもだ……
――お前、バッドエンドとか、メリバとか……
NTR……描いてねぇだろうなぁ……?」
ここは、俺の地雷なので確認したかった。
「えー。俺、地雷無しの雑食だけど、
ギャグと甘々ハピエンしか描いたことないー。
リバ有りだけど、読者が混乱するから同じ本で描かないしー」
――満点合格!!!
タイトル誤字については、忘れてやっても良い!!
案外使える奴じゃねぇか!
銀髪が調子に乗らないよう、俺は心の中だけで、スタンディングオベーションした。
「ちょっと、アーシュ描いてみせろ」
「えー。ゲームタイトル何ー? 衣装デザイン変わるじゃん」
「『蒼き山の物語』」
「蒼山好き? わかりみヤバいわー。アーシュがドチャクソかわいいよなー」
――チッ!! コイツ、大分俺の癖に刺さること言ってくんな。Xで見かけてたら、うっかりフォローしてたぜ!
「はい、出来たー」
銀髪がタブレットに描いたアーシュを見せてきた。
――なんだ、お前、ただの神か! Xフォローしとくわ!! いっぱい、アーシュ描けよ!!!
つい、口許が弛んでタブレットのアーシュを見つめていると、クソ山羊が訝しげにこちらを見ていた。
「――あの、ここ、全年齢ですからね?」
「わかってるって! うっせーな!」
俺が山羊を威嚇していると、銀髪がボヤいた。
「あー。もー。なろうの表、きちーわ。かわいい男の子の固有名詞が禁止なんだもーん」
「あらすじで、俺を最も端的に表す『シで始まり、ンで終わる』単語が使われてないのは、そのせいか!」
「ChatGTPが、駄目、絶対! ってさー。『かわいい男の子好き』ならセーフ?って、聞いたら……『水谷誠司が好きって言っていたら、駄目です』って、半笑いで却下された」
「なんだ、そりゃ!!」
「マジ、うぜーよなー」
「何を不埒なことを言ってるんですか! 男児でも性的に見たら、即有罪なのは、世界の共通認識ですからね?」
俺と銀髪は、互いの敵が誰なのか一発でわかりあった。
なので、輪廻に聞こえないように、小声で話し合った。
「ニケルとアーシュ良いよなぁ?」
神は我に問い給うた。
「うん! 良い! 仲良くしてると、最高だー! 仲良しって、いーなー!! 心がポカポカするー!」
我も神に呼応せり。
「アイスクリームみたいに~、溶け合っちゃえば良いのにね~♪」
「デュフフ♪ 美味しそう……」
俺たちはニヤけた。
「コラー! 何を話してるんですか――!?」
輪廻が来たので、
「アイスの話しか、してませーん!」
二人でシラを切り通した。
「俺はさぁ。どちらかと言えば、猫耳より、犬耳の方が、アーシュっぽいと思うー♪」
神よ。あなたの仰ることは、全て正しい✨
輪廻は眉間にシワを寄せ、ジト目でこちらを伺っていた。
「言っときますけど、全年齢ですからね!?」
「猫と犬の話しか、してませーん!」
「してませーん!」
我も神の御言葉を復唱した。
「なんか、さっき、コピペミスで、いかがわしい文言上げてませんでした? 次に何かしでかしたら、速攻ギルティりますからね!?」
「あーあー! 知りません!!! 人はミスをするものです。 人間だもの!!」
「うん! 俺は何も見てない!! ただ、未の方が、俺も好き!」
俺は咳払いをして、神に向き直った。
「――ってことで、俺がニケルに転生する二次創作を描いてくれ。
出来る限り、甘々。メッチャ幸せなヤツ! アーシュがかわいくて――んんんっ! な、感じで! クオリティ重視で! しかし、なる早で仕上げてくれ!」
神は我にサムズアップしながら、福音を給わった。
「オッケー!! ドチャシコいの描きあげんぜ!!!」
輪廻は、紐を思いきり下に引いた――。
「――それは、有罪確定です!!!」
神の頭上に、例の金ダライが落ち――
「あっ……」
神は死んだ――。
次回
第七話 俺の神絵師が死んじゃった!!!




