第五話 タイトルとあらすじが、本編と食い違ってるじゃねぇか!!!
“The soul becomes dyed with the color of its thoughts.”
――魂は、その思考の色に染まる。
マルクス・アウレリウス
*
「うおおおい!!! そりゃねぇだろー!!!!」
俺はまた、絶叫した。
そして、空間端末を開き、作品情報を確認した――。
*
水谷誠司が異世界転生してアーシュに出会うまでの冒険譚が少しも、綺麗じゃない件について!
あらすじ
水谷誠司(27)は自分の欲求に正直な男である。
ある夏の日、理想の少年『明日人』と出会った途端、トラック即死で、明日人と共に異世界転生してしまう。
明日人とのハピエンを目指し、地獄の亡者からモブに成り上がれ!
「なろうが、どうなろうと、俺たちには、関係ねぇ!」
*
「書いてあんじゃん!! “モブに成り上がれ!”って!!
しかも俺が“異世界転生して”って明記されてる!!
これ絶対ルートあるやつだろ!?」
輪廻は淡々と答えた。
「誤植では?」
「はっ!? 誤植で人生左右される!?」
「“して”ではなく“した”の可能性です」
「うそぉ――ん!」
輪廻は軽く咳払いした。
「では、文字を創作した者を呼びましょう」
「え? そんなの出来るの?」
「通常は不可能です。創作者と物語が接触することは禁忌です」
「だよな」
「ですが、あの男は自己投影をAI対話キャラとして創作しています。
半分、概念です。ここへ引きずり出せます」
「チッ――あの、銀髪ヤンキーか……俺、アイツ嫌い」
「詠唱します。少し離れて下さい」
輪廻は魔方陣を一瞬で描いた。
「冥府の精霊よ――
我らを創りし愚か者を、此処へ導きたまえ――」
青白い光が霧を裂く。
そして現れたのは――
ヨギボーに顔を突っ込んで寝ている銀髪野郎だった。
「うぅん……♡ 明日人きゅん……♡ ホッペぷにぷに……♡」
「ざっけんな!!!」
俺はヨギボーを、思い切り蹴り飛ばした。
「のあっ!? なにここ!? 水ダウ……?」
「違ぇよ!! 地獄だ!! 勝手に明日人の夢見んな!!!」
「あ――!!!!
おまっ!! 水谷誠司じゃねぇか!? なんで、ここにいんだよ!
古巣に帰れ!!!
なろうの表に出てきて良いキャラじゃねぇだろーが!!」
「うるせー!!
お前がテキトーによくわからねぇ、あらすじやタイトル書いてるから、こっちは迷惑被ってるんだよ!」
「あの、喧嘩は字数を食いますし、読者の眼精疲労を誘発します。止めて下さい」
輪廻の一言で、俺たちは睨み合うだけにした。
そして、俺たちは異世界転生『して』『した』問題について、銀髪に指摘した。
「え? タイトルが『異世界転生して』になってる?!」
銀髪の顔色が青白く変わった。脂汗を流して、スマホの端末を確認した後、無言になった。
俺は頭をかきむしった。
輪廻は呆れた。
「まさか、既に公開された作品タイトルが【一文字違う】――そんなことが起こり得るのですか?」
「――いっ……今まで、短いタイトルしか扱ってなかったから、あんまし、見直してなかった……後、この作品もなろう直書きで、バックアップはとってない」
「お前! 責任取れよ!!! 俺と明日人をトラック即死させて別れさせるとか、絶対絶対絶対許さんからな!? 後、バックアップは取れ――!!!」
「この唐突なタイトル詐欺、一体どう収集つけるんですか? 『ディグ伝』の新作には、ニケルは登場しないんですよ? 公式キャラとエンカウント出来ないのに……」
「あ、それなら、別に余裕余裕――」
俺は銀髪ヤンキーの胸ぐらを掴んだ。
「お前! テキトーばっか抜かしやがって! どうやって、ニケルとアーシュを出会わせるんだよ!?」
「そんなモン、俺が二次創作すりゃ、余裕っしょ✨」
銀髪は不敵な笑みを浮かべた――。
次回
第六話 公式がやらないのなら、二次創作すれば良いじゃない✨




