第一話 不定期更新 オススメ地獄巡りへ行こう! カラダとココロに優しい旅。
„Die Hölle selbst hat ihre Gesetze.“
――地獄にもまた法がある
ラテン語格言
*
俺、水谷誠司二十七歳。トラックで即死した。そして、地獄法務部の輪廻とか言う、しゃらくせぇ人外イケメンから、ギルティを食らって、即死した。
――地獄で即死!?!? 明日人に会えなくなるじゃねぇか――!!! 作者のバカヤロー!!!
俺が心で毒づいていると、元の場所に戻ってきた。
そして、金ダライに潰された俺の体が、何度か点滅して消えた。
なにこれ? スーファミのゲームみたい――。クソ演出だるっ!
「お帰りなさい。水谷誠司」
輪廻は、金ダライと紐を消して俺を見つめた。
「――え。あ。お、おぅ……なんか、死んで生き返ったんだけど……なにこれ?」
「令和七年七月七日から施行された、最新式処刑装置です。
以前は、ブルボン王朝のギロチン式で、ありとあらゆる苦痛を罪人に与えていたのですけどね。
流血、苦痛、うめき声が、前時代的。痛そう、可哀想、見るに耐えない。
時代の流れで地獄法務部に多数苦情が寄せられましてね。地獄コンプライアンス会議で、昭和漂流者式が採用されたんです。
これなら、お茶の間のお母さんもニッコリ。安心安全に死をお届け出来るようになりました」
わりとつい最近まで、グロい斬首刑だったことに、俺はゾッとした。
この人外、まともそうにイカれたことを話してやがる。
って、いうか俺を殺すのに、躊躇いがねぇ。フツーに怖くなってきた。やっぱり、ここは地獄だ。
「前回、レアケースだから、私が来たと申し上げたのを覚えてますか?」
――そんなこと、言ってたっけ? んー。情報量多すぎて覚えてねぇや。
「あ、うん。言ってた!」
輪廻は無表情のまま、こちらを見つめた。
「嘘をつかないで下さい! ギルティ!!!」
輪廻が、紐を引っ張ると、また! 金ダライが落ちてきて、俺は死んで――その場で生き返った。
「待て! それやられる度に、俺は俺の無様な死体を見るハメになって、気持ち悪いんだが!」
「言い忘れていましたが、私は地獄の亡者監視員兼、処刑執行人なのです。虚偽、不道徳、違法行為、規約違反には、有罪を与えるのが私の任務なのです」
「うっせっ! ルビが長ぇよ! 山羊野郎!」
これ以上キャラが強いと、俺が負ける! 数学と物理は得意だが、英語は苦手だ! 正直止めてほしい!
「で? 明日人は今、天上で何してんだよ? あく、教えろよ」
「もー。人使いが荒いですねぇ。明日人様なら、転生先が既に決まっております。異世界転生されますよ」
「は?! 俺も異世界転生してぇ! どうすればいいんだよ?」
輪廻は空間端末をスワイプした。
「明日人様の転生先はここですよ」
そこには、俺が親の顔よりもよく見た、ゲーム会社『ANZAI』のロゴがデカデカと書かれていた。
『ディグオンの伝説~Legend of Diggon~』
へ!? 毎回新作が出る度に死ぬ程やり込んでるゲームコンテンツじゃねぇか!!
「明日人様は、来世こちらの主人公アーシュに転生されます」
―― マ ジ か よ ! ?
明日人がアーシュ!?!? それは……ドチャシ――。
「おっと、それ以上はギルティですよ? 未成年を性的対象と見なした瞬間、即死刑ですからね?」
「うっせ! 俺のアーシュに、明日人がなるとか!! 神展開過ぎるだろ!! あー。早く発売しねぇかなー」
「いや、あなた、死んでるでしょ?」
――ハッ!! 俺、プレイ出来んのか!?
「そうです。異世界転生する明日人様のご活躍を、ここでSTAYして指でも咥えててください」
「いやだ――――
!!!!!!(汚い声で絶叫)」
「厭だなぁ。これだから、発狂するオタクは……」
「うるせぇ!!! おい、山羊!! 今すぐ俺を天上界に連れていけ!!! 俺も明日人と同じゲームのキャラになって、エンカウントしてぇ!!!」
次回
第ニ話 のんびり大人旅! ラグジュアリー溢れる天界ホテル。老舗の地獄温泉で癒しの思い出。




