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水谷誠司が異世界転生してアーシュに出会うまでの冒険譚が少しも、綺麗じゃない件について!  作者: 八車 雀兄


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第十四話 俺たちの冒険はここからだ――!!!





 “The beginning is the most important part of the work.”



 始まりこそが最も重要である。


 プラトン




   *




「俺は、異世界転生にあたって、炎鎖(えんさ)拘束魔導士こうそくまどうしとして誕生した。


 情報収集能力の他に、攻撃魔法や敵へのデバフもかけられる。

 次、鋏」



「私も鎖と対になる ✂水律(すいりつ)治癒魔導士ちゆまどうしとなりました。

 さっき、明日人(あしと)と意志疎通が可能になったよね?

 水鏡観測すいきょうかんそくという魔法で、何時でも連絡を取り合う事が可能だよ。

 これは、鎖同様にこちらに転生してきた事で追加された能力だね」



「輪廻――お前は、この旅にどういう立ち位置でついてくるんだ?」



「勿論、私は地獄法務部の監視役として、水谷誠司の動向を監視します。


 ただし、あなた方は、地獄の亡者ではない。


 創作概念から誕生した、AI登場人物ですので、私からは干渉その物が出来ません。


 何より、コンプライアンス、リテラシーについては、私が監視する必要がない程、意識が高く、違法性のある発言は絶対にしないので、AI魔道師は水谷誠司の同伴者として、最適解だと判断してます」



「んで、水谷誠司は――……特にないな!」



 鎖は無表情に、次の議題に入ろうとした。



「おい! きっとなんかあるだろ! 俺のスターテスもっと見ろよ!! あ! ハイハイ!!! 俺、サイバー攻撃と嫌がらせなら得意――あ、嘘です……覚えてません……すんません――」



 輪廻が紐を出したので、俺は黙るしかない。



「お前のステータス、黒塗り部分が多すぎて、訳がわかんねぇんだよ!! マジで、ムーンライト出身なのが、仇になってる。――黒塗り外したら通報祭で削除対象だぞ?」



俺の故郷(ムーンライト)を悪く言うな――!!! 出自で差別しやがって! でも、うわー! なんだ、この、シマシマ修正は――!? 俺が見ても、意味がわかんねぇ!! 特殊技能とかねーの?」



「 ✂ムーンライトでも、明日人へ関しての項目は似たり寄ったりですよ。

 あ――――。本当に汚い。水谷誠司は汚い ✂

 このステータス、少しも綺麗じゃない…… ✂」



その通り(イグザクトリー)!!! 綺麗にタイトル回収出来ましたね」



 輪廻が指を鳴らしてドヤる。



「チクショー!!! 三人がかりで、完結作品の主人公様に石ぶつけやがって――!!!」



「え? あの作品の主人公は――明日人では? ✂」



「そうだな。水谷誠司の過去や単独行為の多い章は、閲覧がビックリするほど低迷した。

 6章が特に酷くて、銀髪が頭抱えてたもんな? なぁ、鋏?」



「ホント、それ!  ✂正直、ちょっと笑いました。嫌われ過ぎでしょw」



「分かる。水谷誠司の人気の無さは確定事項だ。やっぱ人気なのは――」



「 ✂明日人ですね」



「だよなっ! 俺も一番好き♪」



 あれだけ、いがみ合いしてたポンコツ野郎どもが、俺の悪口で、急に仲良くなりだした。



「最低、最悪――。ここまで、嫌う? 一生懸命頑張ったのに……」



 うう。ちょっと泣きそう。泣いたら、クソ三人から、キモいって言われるから、我慢するけど……明日人のコト考えてハッピーになる……。



「 ✂仕方ないでしょ? ✂」



「残念だけど、当然だな――ん? なんだこれ? 水谷誠司の能力パラメーター……調理スキルが異常に高いじゃねぇか。

 お前はなんで、パティシエか調理師にならなかったんだ――」



「 ✂この数値なら、異世界転生グルメ物が狙えますね――でもなぁ、水谷誠司だからなぁ…… ✂」



「メインキャラに清潔感が皆無なのは、グルメ路線と致命的に合わない。


 路線変更しても、新規読者がそもそも手に取らない。

 既存読者ですら、水谷誠司の作ったモン食いたくねぇだろ? だって、水谷誠司だぜ?w


 書籍展開して、アニメ化まで行った作品の主人公思い出せ。アレとか、ソレとか――。

 コレなんて、この前まで、コラボでホーム画面にずっと表示されてたろ?


 ほら! 全員、水谷誠司と真逆のタイプしかいねぇ。グルメ路線は、絶対無理だな」



「 ✂水谷誠司もそうですけど、他の大人キャラも大概なんですよねぇ――」



「あー!無理無理!! 名前も出せない!!

 得に『ほ』の付くメンバーは……」



「 無理無理! ✂出て来た直後に全員、輪廻にギルティられますね ✂」



「悪人だらけなんですか? 前作どういう内容だったんですか?」



 ムーンライトが読めない山羊が質問した。



「 ✂少しも、綺麗じゃない話……ですね」



「その回答が最適解だ――出だしから、終わりまでな」



「チッ――ゴミどもが!」



 俺は、不貞寝して、貧乏揺すりをしながら、スマホで夢小説を書き出した。


 地獄だと、持ち込まれた物に変動がない。つまり、バッテリー無限ということだ。


 辛い現実に直面した時は、アーシュとの幸せな妄想に逃げるしかない――。



「目が疲れた。そろそろステータス見るの止めようぜ?」



 金髪傷野郎が、いつの間にかリーダー格確定したようだった。



「お茶にしますか? ✂」



 鎖の炎と鋏の水でお茶の支度を始めた。



「良いですね。私もご相伴に預かっても?」



「大歓迎です! ✂」



 輪廻と鋏はコンプラ仲間として、ズブズブだ。


 鎖とも、二人は話が合う。たった四人だけなのに、早くも俺はぼっちになった。


 普通キャラが四人出たら、ニコイチでコンビ組ますのが、定石だろが!

 三対一で、俺だけノケモノガカリって、こんな冒険イヤだ――!!!


 と、心の中でそっと思った――マルッ!!!

次回

「第十五回 極上絶品!! 水谷誠司の気まぐれサラダ 地獄ザリガニの姿焼きその辺の草添え」

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