氷の公爵様は、地味な令嬢の本当の価値をご存知でした

「お前はまるで氷の人形だ。隣にいても、心が少しも休まらない」

長年の婚約者である王子から、衆人環視の中で突きつけられた無慈悲な婚約破棄。
次期王妃となるため、感情を殺し、国の未来のためにその知性のすべてを捧げてきた令嬢シャーロット。
その長年の努力と献身は、可憐な男爵令嬢への「真実の愛」の前に、無価値なものとして踏みにじられた。

家の恥さらしと蔑まれ、誰にも理解されず、絶望の淵に沈む彼女の前に、一人の男が現れる。

「――このような愚かな男との婚約がなくなったこと、心から祝福申し上げる」

夜の闇を纏い、血のように赤い瞳を持つ、若き公爵ルーカス。
戦場での冷酷非道さから『氷の悪魔』と畏怖される彼が、なぜかその場にいた。

そして、凍りつく周囲をものともせず、彼はシャーロットの前に跪き、囁く。

「私の、妻になってはいただけないだろうか」

これは、政略か、それとも気まぐれか。
氷の仮面の下に隠された「本当の価値」を唯一見抜いてくれた彼との出会いが、地味だと虐げられた令嬢の運命を、劇的に変えていく。

見せかけの華やかさに惑わされず、真価を見抜く、感動のシンデレラストーリー。