エピローグ
数年の歳月を経て―――
京都・嵐山の竹林に抱かれる「月猫庵」は、ただの宿ではなくなっていた。
ここを訪れた者は口々に「愛を深める力がある」と語り、やがて人々の間で 恋のご利益を授ける宿 と呼ばれるようになった。
古民家の趣を残しながらも、竹林を望む一棟貸しの離れと温泉は、世界的建築家によって設計され、静謐な美を放っていた。
縁側に座れば風は優しく心を撫で、湯に浸かれば互いの距離は自然に近づく。
宿泊客の多くが新婚旅行で訪れ、後に幸せな夫婦となったという逸話は後を絶たず、月猫庵は 五年待ちの人気宿 へと姿を変えた。
その人気の理由は、ただ施設の美しさだけではない。
この庵の名に込められた「月と猫」の由来、そして仲睦まじい鷹峰社長夫妻の存在が、人々に「永遠の縁」を信じさせた。
夕暮れ、竹林を透かして月が昇る頃、縁側に並ぶ二つの影がある。
静かに寄り添うその姿は、まるで月の光に溶け込むようで、訪れた者たちはそれを “月の夫婦” と呼ぶようになった。
やがて月猫庵は、京都でも屈指の恋のパワースポットとして知られるようになり
「ここを訪れた二人は、必ず結ばれる」――そう語り継がれる物語が生まれた。
読んで頂きありがとう御座います。
こちらで花楓と煌牙の物語はハッピーエンドとなります。
このあとに閑話として外伝もありますがひとまずは他の話を進めたいと思います。
最後までありがとう御座いました。
愛龍




