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月猫庵の花嫁様 〜俺様社長に嫁入り!?〜  作者: 愛龍


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煌牙の腕に壁際へ追い詰められ、花楓は震える唇を開いた。


「……ちがう……」

かすれた声で否定する。


「だって……だって……これは契約なんでしょ……?」

必死に言葉を繋ぐ花楓の瞳は、涙で揺れていた。


「あなたは……お見合いが煩わしいから……」

胸に手を当て、息を詰まらせながら。


「私は……あの場所を守りたいから……」


唇を噛み、目を逸らす。

「……好きになったなんて……勝手すぎて……」


涙が溢れ、頬を伝う。

「……あなたを困らせる……」


その一言に、煌牙の心臓が強く締め付けられた。

彼女は、自分の気持ちを否定してまで“契約”に縛られている。


それでも――その涙こそが、真実を語っていた。


煌牙は花楓の手首を抑えたまま、震える声で囁いた。

「……困らせる? 俺が……それを望んでたらどうするんだ」


次の瞬間。

「……っ」


煌牙は言葉を遮るように、強く唇を塞いだ。

息を奪うほどの深い口づけ。

拒む間もなく、花楓の背が壁に押し付けられる。


「……っん……!」

かすかな吐息が零れ、抑えられた手首が解かれ煌牙の胸元に触れる。


一度唇を離しても、すぐにまた重ねる。

離しては、また――何度も、何度も。

そのたびに、花楓の瞳が揺れ、頬が紅に染まっていく。


荒い呼吸の合間、低く掠れた声が耳元に落ちた。


「……ふざけんな……」


花楓がはっと息を呑む。


「勝手に……俺の気持ちを決めるな」


その言葉は、熱に震えながらも、確かな想いを叩きつけるようだった。


何度も重なった口づけの熱がまだ唇に残り、心臓は胸を突き破りそうなほど早鐘を打っている。


「……俺は」

煌牙の声が低く響いた。

彼の額が花楓の額に触れ、熱を帯びた吐息が頬にかかる。


「最初から……君が好きだった」


その一言に、花楓の目が大きく見開かれる。

「……っ」

喉が震え、言葉が出ない。


煌牙は視線を逸らさず、さらに続けた。

「土地の話はたまたま偶然が重なった。親族や役員どもにうんざりして……お見合いから逃げたかったのも本当だ。けど―それだけなら、誰でもよかった」


強く抱き寄せ、背中に腕を回す。

「俺が欲しかったのは……君だけだ」


その声は震えていた。

けれど揺らぎはなく、花楓の心をまっすぐに貫く。


「君が笑ってくれるたびに……『客』として接してくるたび勝手に苛立って、でも惹かれて……もう我慢できなかった」


熱を帯びた眼差しが、花楓を逃さない。

その真剣さに胸が締め付けられ、花楓の瞳に熱い雫があふれた。


「……煌牙さん……」


押し殺していた想いが、涙と共にあふれ出す。


「……私は……」

か細い声で零すと、煌牙の腕がさらに強く抱き寄せてくる。


花楓は潤んだ瞳で彼を見上げ、震える唇で続けた。


「……あなたが好き……」

涙が頬をつたう。

「……好きになっちゃった……」


その言葉は、隠していた想いをすべてさらけ出す告白だった。


煌牙の瞳が大きく揺れ、次の瞬間には花楓の唇を深く奪っていた。

涙ごと塞ぎ込むように、強く、熱く。


契約という枷は完全に壊れ、残されたのは――

ただ、互いを求め合う真実の気持ちだけだった。





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