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月猫庵の花嫁様 〜俺様社長に嫁入り!?〜  作者: 愛龍


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月猫庵からマンションに帰る…


煌牙が鍵を閉め、荷物を置いて振り返ると、花楓は疲れた笑顔を見せて浴室へ向かった。


「お風呂、先にいただきますね」

声はどこか沈んでいて、足取りも重かった。


煌牙はしばらく立ち尽くし、やがてジャケットを脱いでソファに腰を下ろした。


(……何かあったか? 嫌な客でもいたのか……)


気がかりな胸騒ぎが収まらず、ポケットからスマホを取り出す。


「……昴流」


数コールのあと、軽い声が返った。

『兄さん?どうしたの』


煌牙は低く尋ねる。

「今日の花楓、何かあったか?嫌な客でもいたのか」


昴流は一瞬沈黙し、やがて答えた。

「いや、ぼくが最後だったけど……

そんな様子、特になかったよ」


そこで、昴流の声がわずかに低くなった。

「……でも、何か言いかけてた。

“私は……”って。途中でやめちゃったけど」


煌牙の胸が跳ねる。

「……“私は”?」


スマホの向こう、昴流はしばし黙る。

いつもの軽口も出さず気配だけが伝わる。


「……昴流?」

煌牙が低く呼びかける。


「……別に」

短い答え。

「嫌な客がいたとかじゃない。ぼくが最後だったし」


そこで言葉が途切れる。

だが、何かを飲み込むように続けなかった。


「……おい。何か知ってるだろ」

兄の問いかけに、昴流はふっと鼻で笑う。


「さあね」

あえて突き放すような声音。

「自分で気づけよ、兄さん。……ほんとムカつく」


通話が切れた。


煌牙はスマホを見つめたまま沈黙する。

(……昴流のやつ。何を隠してる)


だが、その言葉の奥にある棘は――どこか嫉妬の色を帯びていた。


浴室のドアから、微かな水音が響く。

煌牙は握ったスマホをゆっくりとテーブルに置き、深く息を吐いた。


(……花楓

………くそっ、早く俺をすきになってくれ……)


切ない叫びを心の中で叫んだ。




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