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月猫庵の花嫁様 〜俺様社長に嫁入り!?〜  作者: 愛龍


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広々としたダイニングには、銀のカトラリーと温かな香りが満ちていた。

家族が揃って囲む朝食会。今朝の話題は当然――煌牙と花楓の結婚だった。


「結婚式と披露宴はどうするの?」

長兄・夕樹が、コーヒーを口にしながら穏やかに問いかける。


煌牙は短く息を整え、落ち着いた声で答えた。

「……みんな忙しくて予定が合いません。だから、一年後。二人だけで海外で挙式します」


「へぇ……」

姉の彩織が小さく眉を上げ、すぐに笑みを浮かべた。

「でもお披露目はどうするの?流石に役員たちが煩いわよ」


煌牙は一瞬だけ視線を落とし、やがて真っ直ぐに顔を上げる。

「わかってる。だから――再来月の創立記念パーティーで、正式に結婚したことを報告したい。……いいですか、父さん」


一同の視線が、テーブルの端に座る朝紀へと集まった。


朝紀はナイフとフォークを静かに置き、ゆるやかに微笑んだ。

「もちろんいいよ」

そしてわずかに口元を引き締める。

「邪魔されないように気をつけて」


その声に、花楓の胸はきゅっと締め付けられた。

しかし同時に、煌牙の横顔に揺るぎない決意を見て―心の奥が、そっと温かく灯るのを感じた。


母・綾子が手を叩いた。

「じゃあ、ドレスを選ばなきゃね」


その一言に、花楓は思わずスプーンを止め、顔を赤らめる。


「お母様、私も一緒に選びたいわ」

彩織がすぐに身を乗り出す。

「でも私の海外出張のときは止めてね? 花楓ちゃんのドレス姿、絶対に見逃したくないから」


「私はいつでも構いませんわ」

麗香は穏やかに微笑みながら紅茶を口にする。

「花楓さんに似合うドレスを一緒に見つけられるなんて、楽しみです」


花楓は両手を膝に置き、うつむきながら小さく「ありがとうございます」と声を絞った。

その頬はますます赤く染まっている。


そんな空気の中、夕樹が苦笑混じりに口を開いた。

「じゃあ、僕が京都に来てるときにしてくれるかな? 麗香と一緒に見たいしね」


「……夕樹兄さんまで」

昴流が呆れ気味に漏らす。


だが、花楓の胸の奥には、不思議な温かさが広がっていた。

―優しく家族として迎え入れられているようで。



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