第六羽
実希は実はニワトリになれるという神業を持っていた。
「今こそそれを使うべきだ。」
と、実希はニワトリのことを一心不乱に考え始めた。
夜も寝ずにニワトリのことを考えた。
考えて、考えて、考えまくった。
すると、突然くちばしがにょきにょきと生えてきた。
と思ったら、だんだん白い毛がフッサフッサと体中から生えてきた。
と思ったら、足がだんだん黄色くなっていく。
想像するだけでも気持ち悪すぎる変化を実希は遂げていく。
実希はあっという間にちょっとばかし大きなニワトリとなった。
次の日、例の男がまた実希の部屋の前まで来た。
その男は部屋を見て、びっくり……。
ちょっとばかし大きなニワトリがいるではないか。
例の男は実はニワトリが大好きで大好きで、家で飼っているほどだった。
そこで、例の男は、そのちょっとばかし大きいニワトリを自分の家へと持ち帰った。
ニワトリの体をした実希は「正気かよ。」と思ったが、「まー牢獄から出られるからいいや。」とポジティブに考えた。
その日から例の男は実希(ちょっとばかし大きなニワトリ)を大切に大切に育てた。
餌もじゅうぶんにもらった実希は、体だけがすくすくと大きくなった。
しかし実希は思った。
「いつ、こっから逃げようか。 あーあ、めんどくせぇー。」
もういっそこのままでもいいかと思ったが、もう一回い人間に戻っておいしい食べ物をたらふく食べたいとも思った。
作 O・M