第十五羽
「脱出するか…。」
しかし、背が低い実希は、ドアの上の方のロックを解除できない。
(えぇ…!? 一難去ってまた一難ってこういうこと……?)
どうしようもない実希は、一度家の中にはいっていくことにした。
とってもひろーい家出、今、実希がいるのはボイラー室。
旧式の家なのでボイラー室があるのだ。
(な、なんじゃーここ?? 【火気厳禁】って書いてあるし、こわっ!)
そこらじゅうの引き出しを開けて楽しんでいると、大きな|(庭)バサミがでてきた。
重いのだが、興味を持ったので持ち上げてみた。
(おぉー、カッケェ ハサミ☆)
切れ味を確かめるべく、そこを通っていた管を切ってみた。
スパン、といい音がして切れた。
だが………。
管から流れ出てきたのは蒸気と変な液体。
能天気な実希もさすがに慌てた。
(う、わわわ~!!? うぇっ、気持ち悪い!!)
ドロドロドロドロ………………
液体は止まることなく流れ出す。
わたわたしつつも、部屋にあったダンボールに乗ってじーっとしていると…。
玄関のチャイムがけたたましくなった。
パタパタと、2階から降りてくるスリッパの音がした。
そこで、実希はこの家に人がいたことを知った。
外から声がした。
『セコムのものです。 お宅から自動通報があったので………』
『えっ? そんな、そんなことありませんけど…?』
『一応確認させていただいてもよろしいですか?』
『え、えぇ。 どうぞ。 散らかっていますけど。』
奥さんらしい声がする。
(フンッ。 散らかってなんかいないくせに。)
実希は自分の小汚い部屋を思い出した。
親の顔も、友達のことも。
なんだか、少し寂しくなってきてしまった。
作 M・N