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38EX:あの日、落ちてきた少女・3

「うーん……不器用だよなぁ、親父って」


 空から落ちてきた美少女は、不器用なラファーガの応急手当によって包帯ぐるぐる巻きにされ、見る影もない姿となっていた。

 そんなものでも処置としての役割は果たしているようだが、意識を失ったままの少女を見下ろし、苦笑いを浮かべるフォンド。

 ラファーガはというと、竜騎士たちの詰所があるグリングランの町中へ向かったようで、その間はフォンドが少女の傍についていることに。


(ジャーマは我関せずだけど……こんな状態の子を放っておけるかよ)


 とはいえ、フォンドにできることは少ない。ベッドの傍らに座り込んで、ちらりと少女を窺う。


(……きれーな髪だなぁ)


 透き通るような水色の、さらさらの長い髪。白いシーツにひろがるそれは、思わず触れてみたくなる程で……


「うっ……うう」

「!」


 伸ばしかけた手が、少女の呻く声でぴたりと止まる。傷が痛むのか、彼女は苦しそうに眉根を寄せた。

 ラファーガ含め、この家に回復魔法の使い手はいない。傷の消毒や保護はできても、痛みを取り除いてやることはできないのだ。


「だ、大丈夫か?」


 まだ意識が戻っていないのか、返事は返ってこなかった。フォンドは少女の小さな手にそっと触れ、優しく握る。


「痛いよな。苦しいよな。不安だよな……こんなんで紛れるかわからねえけど……」

「…………」


 穏やかに、宥めるように語りかけながら、空いたもう片方の手で少女の頭を撫でる。

 大丈夫、大丈夫と何度も繰り返すと、安心したのか苦悶に歪んでいた少女の表情が和らいでいった。


「もうすぐ親父が竜騎士隊の姉ちゃんと治療ができる人を呼んできてくれるから。そうしたら帰れるから……もう少しの辛抱だぞ」

「……ん……」


 すると、フォンドの声に応えるように、きゅ、と少女の手が握り返し……

 ぎゅううううう、と次第にその力が強くなっていった。

 華奢な見た目に反してどこまでも増していく握力に、たまらずフォンドが飛び上がる。


「ぎゃあぁぁぁーーーー!? いっ、いでででででっ!」

「なんだ、何事だ!?」


 突如響いた絶叫に驚いたジャーマが慌てて駆けつけるが、魔物の襲撃でないとわかると呆れ顔で固まった。


「……何をやっているんだ」

「いや、この子すげえ力つよくて……」

「ドラゴニカの女だろう? 竜騎士隊を見てきたくせに、わからなかったのか」


 グリングランとドラゴニカは共生関係にあり、お互いに食糧と兵力をそれぞれ補い合っている。

 ドラゴニカの竜騎士たちはスマートな美女が多いが、竜の血が流れているその肉体は腕力も体力も凄まじいもので……

 すやすやと穏やかな寝息を立て始めた少女が見習いとはいえ竜騎士の端くれなのだとしたら、先程の怪力ぶりも頷ける。


「フン、見た目に騙されて痛い目を見たな」

「そ、そう言われるとすげえ間抜けなヤツみたいじゃねえか!」

「そうだと言っているんだ、馬鹿め」


 そんなぁ、とがっくり肩を落とすフォンドの耳に複数人の足音が届く。

 ラファーガに連れられて来た竜騎士の女性によって、少女はほどなくしてドラゴニカへと帰されるのだった――。

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