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38EX:あの日、落ちてきた少女・1

『38:再戦の誓い』の後。

フォンドの家でラファーガから聞く過去のお話です。

 グリングランの外れにぽつんと建つ小さな家と、その割に広々とした庭。

 それがフォンドの育った家なのだとわかると、庭はきっと稽古場も兼ねているのだろうと仲間たちに想像させた。


「お前らそんなぞろぞろ来て……言っとくけど、ホントになんにもねえ家だぞ?」

「いいのいいの。ただ見に来ただけだから!」


 にっこにこ笑顔のサニーに呆れを隠さないフォンド。と、ふとその視線が後方でぼんやり佇むエイミに移った。


「エイミ、どうした? あんまりフツーで拍子抜けしちまたか?」

「……たし……」

「え?」

「わたし、ここに来たことあるような……」

「ええっ!?」


 すると彼女の周囲でふよふよ浮かんでいたミューも、茶色い屋根を見上げながら口を開いた。


『五年前、まだ私たちが未熟だった時に、空を飛ぼうとして落っこちたことがあったって言ったわよね。その時に落ちたのが、この家の屋根よ……たぶん』

「なんだいなんだい? なんか面白そうな話かい?」


 ひょんなことから始まった昔語りに、誰よりも目を輝かせて興味津々だったのは読書好きのモーアン。

 共に戦う旅の仲間が実は過去に一度だけ運命的な出会いをしていただなんて、まるで物語のようだからだ。


「でも、五年くらい前でそんな衝撃的なことがあったなら普通すぐわからない? そうしたらフォンドとだって初対面じゃなかったのよね?」

「そうは言っても五年も経てばかなり成長してるからねぇ……多少面影があってもたまたま旅先で出会って、そうだとはわからないんじゃないかなぁ」


 プリエールの疑問にモーアンも指先でこめかみを軽く叩きながらあれやこれやと考えを巡らせ始める。

 そうこうしているうちに、家の扉ががちゃりと開き、中から主であるラファーガが現れた。


「なんだか賑やかだと思ったら……そんなところで話してないで、中に入ったらどうだ?」

「親父。そうだな、話の続きは中でしようぜ」


 招かれてリビングに入った一行が見回すと、グリングランの英雄が住む家は隅々まで整頓が行き届いておらず、生活感と人間味を感じさせた。

 ふと、その中でシグルスが天井を見上げ、笑みを零す。


「……どうやら、お前が落ちてきた家っていうのは間違いなさそうだな」

「えっ? あ……」


 天井には人ひとりぶんくらいの大きな修理跡が残っており、エイミを赤面させた。


「なんだ、似ているとは思っていたが、お前さんあの時の子か! 大きくなったなぁ!」

「あ、あの、その」

「すぐにわからなくて当然だ。落ちた時の全身大怪我で朦朧としていただろ? おまけにここにいたのは竜騎士隊に連絡して連れ帰ってもらうまでの短い間だったからなあ」


 ラファーガの口から説明されたそれが、エイミの記憶が曖昧だった理由らしい。

 彼はそのまま、当時のことを語り始めた。

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