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29EX:異文化交流?・2

 グリングランで育ったフォンドは、服屋の店員とも顔馴染みで。

 活発そうなポニーテールが可愛らしい女性はまずフォンドに気安い笑顔を向け、いらっしゃい、と言いかけた声は彼の後ろにいたシルヴァンを見るなり盛大にひっくり返った。


「フォ、フォンドくん、誰このイケメン? どこの王子様連れてきたの!?」

「あ、はは……」


 王子様には違いないけどな、という返答は飲み込んで。

 襲撃を受けたグリングランにシルヴァンが現れた時は一般市民は避難済み。先程の外での人々もそうだったが、幸いにも店員は彼が魔族だと気づかないようだ。


「この店もそうだけど、建物も意外と無事なんだな」

「うん、そうね。竜騎士さんたちの対処も早かったし、派手に壊されたのは塀とかが多かったかな」


 さすがドラゴニカの竜騎士さんよね、と女性はおずおずついてきたエイミにウインクを飛ばした。


「えーと、それで……こいつの服を探してるんだけど、なんか良さげなのないかな?」


 と、フォンドがシルヴァンを指し示すと、店員の目がギラリと光る。


「このイケメンをあたしの好きにしていいって!?」

「そ、それはなんだか語弊が……」

『言い方が危ないわよ』


 冷静なツッコミを受け、彼女はゴホンと咳払いをした。


「……わかってるわ。見ない顔だし旅人さんよね。それならその格好は目立つし不便だわね」

「そうそう。だからこいつに似合う、いかにもそのへんにいそうな旅人っぽい服とかないかなって」

「まっかせて! 素敵にコーディネートしちゃう!」


 先程の「あたしの好きに」を要約すると「素敵にコーディネート」になるのだろう。

 美形のモデルに自分が考えた服を着せられると聞き、店員は張り切って服を探し始めた。


「……なんか、ごめんな……悪いひとじゃないんだけどさ……」

「ああ、いや……少し驚いたが、何を着ればいいかわからなかったから助かる」


 鼻歌混じりにこれはどうかしら、あっちもいいわねと心底楽しそうな女性は、しばらくは声をかけない方が良さそうだ。

 シルヴァンは一歩さがり、こっそりとエイミたちを窺う。


「ところで、イケメン……とはなんだ? 実は先程外で買い物していた時も何度か聴こえてきた言葉なんだが」

『うーん……すっごくステキなヒト、ってところかしらね』

「素敵……?」


 その言葉を聞いた途端、魔族の王子は銀色の目を一瞬見開き、驚きと気恥ずかしさが混ざったなんともいえない表情で口許をむずつかせた。


「な、なんだか照れるな……魔界では散々な言われようだったから」

『あらら、意外と可愛らしい反応ね』


 ほっこりした笑いが起こったエイミたちに、店員がこれでもかと服を持ってきて、話はひとまず終わりを迎える。

 テーブルに、長身のシルヴァンの頭よりも高く積まれた服の山。期待に目を輝かせた店員の予想以上の張り切り具合に、フォンドはそっと長期戦を覚悟した。

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