表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

あの娘(こ)/あの人間(ひと)


       水面に浮かぶ 二人


       背を向け合いながら


       一人は水面にもたれかかるように座り


       もう一人は三角をつくり座る


       空には朧げな月


       周囲には注ぐ森林


       静寂の中 想い—




  あのが嫌がること言って

  傷付く顔を見ること好物


  その位当たり前

  いつもちやほやされて

  いい気になっているから



   / あの人間ひとの言動など真意ではない

     それ以上にわたしはわたしの道を失ってはいけない



  奈落の底に落ちればいい

  みじめに粉々になってお終い


  けれど粉は底から舞い上がり

  私になにかを問う




   / わたしはわたしを抱きしめて

     大丈夫よ、とさする

     生きること プロセスには

     心に幾度も傷を負い

     それでも

     わたしはわたしが大切だから


     よく頑張ったわ


     さぁ、この痛みをどう料理する?

     美味しくするか、不味くするか

     答えはもう、決まっている

     前者にしたら、沢山の人達に振る舞えるもの!



  他人に言えない悩みを持ち

  元気な笑顔のあのが疎ましかった


  私が一生持てないものを

  あのは持っている



   / 鬱な気持ちなんていつでもある

     誰だってそうでしょう

  

     みんながそうだと思えば

     共に笑えばなんとかなるわ


     さぁ、スパイスはどれにする?



  どうして笑っていられるの

  奈落の底に落ちた筈なのに


  私の言葉が足りない

  もっと粉々に—



   / あの人間ひとは、なにに囚われているの

     目の前の偽りの幸福に奪われて

     なにに怯えているの


     己を守るために他人を傷つけていい理由なんて

     どこにもない


     大切なこと


     わたしは只、二歩・三歩先の未来を見る

     その為にわたしは現在いまなにをすべきかが

     必然的に視えるから


     それに従うだけなのに



  あのを私の視界から消すことが使命

  けれど私には

  なにも見えない

  私は粉々になっていく

  あのにしたように


  私は最期まで私を愛せなかった

  真の私はどこを彷徨うの



   / あの人間ひとの往く末などわたしの

     知り得ることではない


     只わたしは、自身の偽りさえも


     愛おしい





       木々に隠れて獣たちが

       「ひと」というものが

       こういうものなのかと、


       生き物として


       理解が出来ない



       生きる術




       月が互いを照らし


       獣が咆哮しては

       音が水面へと伝わり



       揺れる



       振動



       二人は月の存在に



       いま、気付く





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ