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第13話 再会

 僕は、三人組と別れた部屋にそのまま残って、使い魔を使って少尉の居場所を探すことにした。

 今回も小さなネズミを使い魔にして、次々と部屋の中を覗き込んでいく。


「見つけた!」


 僕は迷宮の奥にある広間の、さらにその先の部屋に少尉らしき人が寝かされているのを発見した。

 今まで隠れていた部屋の扉をそっと開けて、部屋の外へ忍び出た。


「少尉、今行きます。 

 サイレンス……、ダークネス……」


 僕は、三人組を観察して学んだ忍び足スキルを部分的にでもマネをしようとして、出力を小さくしたサイレンスとダークネスの魔法を僕の周りに展開した。

 出力を絞ったサイレンスの魔法の効果により、一定以上に大きな音は聞こえるようにすることで違和感をいだかれにくくしつつ、僕の足音や息遣いなどの物音をすごく小さくすることができ、僕の気配を魔物に気付かれにくくすることができた。

 また、限定的なダークネスの効果により、通路の影の作る闇を深くして、僕が物影に潜んで移動するのをしやすくすることができた。


「うまくいった」


 前と同じようにネズミの使い魔を先に行かせて、安全を確認しながら進むことにする。

 足がつま先からつくように、腰をかがめて姿勢を低くしながら通路の端を小走りで少尉のいる部屋を目指す。


「前よりも体が軽い、体が思い通りに動くや」


 動き始めると、以前よりも体が素早く動くようになっていることに気付いた。

 まるで、肉体そのものが目覚めたかのようだ。

 これなら、きっと少尉のところに行けるだろう。


 広間まで来ると遮蔽物がなくなり、物影を伝った移動をしにくくなった。

 広間は、何百人も入れるほど広く、天井も高かったが、天井を支える柱が何本も倒れている。

 そこで、倒れた柱の影に沿ってほふく前進をして、どんどん迷宮の奥深くへ潜入していく。

 そして、ついに少尉のいる部屋へたどり着いた。


「少尉!」


 彼は部屋の中央に置かれたベッドの上に横たわっていた。

 頭には金属の骨組みの帽子のようなものが被せられており、その帽子から延びた何本かの配線が近くの装置に引き込まれている。

 僕は、彼の元に駆け寄り、彼の口元の顔を近づけた。

 かすかな呼吸が感じられる。

 僕は心底ほっとした。


「ひどい傷……」


 彼の胴には乱雑に包帯が巻かれており、その右肩から左下にかけては傷から噴き出した血で包帯がだぶだぶに濡れている。


「少尉、回復薬です」


 僕は彼の血に濡れた包帯を外して、手下の人からもらった回復薬を祈るような気持ちで少尉の傷口に振りかけた。

 すると薬液が傷口の上で泡立ち、泡が消えると傷口のあったところは皮膚に覆われており、傷口は跡形もなくなっていた。


「凄い効き目です!

 もう大丈夫ですよ。

 少尉、少尉…起きてください」


 彼の頭にかぶせられた奇妙な実験装置を外して必死で呼びかけた。

 だが、彼は目覚めなかった。

 たしか、以前に魔族の実験台にされたときも、しばらく気絶したと言っていた。

 今回もきっと、時間が経てば目覚めてくれるだろう。

 僕は、そう信じることにした。


「これからあなたを背負って脱出します。

 帰りましょう。

 みんな、あなたの帰りを待っています」


 なんとか少尉を背負うことができた。

 だが、意識のない彼の体は、とても重く、僕は時々ふらふらしながら歩いて行った。


 僕がここまで潜入したことは今のところばれていないらしい。

 通路には誰もいない。


「ねぇ、少尉。

 少尉が僕に靴を履かせてくれた時や、背負ってくれた時にとても嬉しかったんですよ。

 あの出口近くの部屋に潜んだときや、廃坑の中を一緒に歩いているときも、怖かったけど、ちょっと楽しかったんです。

 あなたはいい人です、郷里でご家族も待っていますよ。

 僕が命に代えても必ず帰らせてあげます。

 少尉だけは帰らないといけない人です」


 僕は小声で少尉に話しかけながら歩き続けた。

 何とか広間までやってきて、ダークネスの魔法で通路の端のほうを暗くしつつ、物影から物影へできるだけ急いで移動していった。

 そのとき、後ろの方から聞き覚えのある女の恐ろしげな声が響いた。

この小説を読んでいただき、ありがとうございます。

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