↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NUMBERS DON'T LIE - 数字は“嘘”をつかない  作者: VIKASH
第一章 「Numbers don't lie――数字は嘘をつかない」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/226

問49「いる」

 



 彼女は頼んだコーヒーをゆっくりと飲んでいた。

 香ばしい香りに、思わず声が漏れる。


「いる?」


「いる」


 ……え、即答!? いや、ちょっと待って。今の、冗談じゃなかったの? 考えずに口にした自分を恨む。

 恋愛って、法則がない。僕にとってはフェルマーの最終定理と同じだ。――解けないし、解けそうで解けない。

 ……って、今そんなこと考えてる場合じゃない。どうしよう、彼女、何て――


「はい」


 え、マジで!?

 まるで時間が止まったような衝撃だった。いや、止まってはないけど。

 時間を止める――なんて、マンガや映画ではよくあるけど、実際には無理だ。空気も酸素も止まるから呼吸できない。死ぬ。だから不可能。

 でも、タイムマシンは理論上可能らしい。アインシュタインも言ってたとか。まあ、ワームホールが見つからない限り、実現は無理だけど。行き先も大きさも不明だし、もしかしたらブラックホールに繋がってるかもしれない――つまり、過去には戻れない。

 だから僕は、“戻りたい”とはもう言わない。

 ……って、何の話してんだ僕。


「え、いいの?」


 彼女は何気なく、飲みかけのチルドカップを差し出してきた。

 一瞬、ためらったけど――彼女の了承もあるし、断る方が失礼かもしれない。幸い、このスーツは口元が空いてる。

「いただきます」と小さく言って、一口。

 おいしい。甘すぎず、苦すぎず。

 ふと見ると、カップの縁には口紅がついていなかった。なるほど、それでフードを……いや、違うか。

 彼女の顔を見ると、微笑んでいた。


「美味しい?」


「おいしいよ」


「よかった。あなたに会えて」


「え?」


 どういう意味だろう。

 僕が“ヒーロー”だから?


「質問、してもいいかしら?」


 やっぱり来た。個人的な質問かと思ったら――


「1+1=?」


 ……え、そこ?

 普通なら2。でも、それじゃつまらない。これは多分、試されてる。


「面白い質問だね」


「即答しないのね」


「僕なりに考えてみたんだ。最初は1、次に3、最後に7になる。」


「どういうこと?」


「1は人間を表してる。子どもが生まれたら?」


「ああ、1ね。」


「そう。そして家族になったら?」


「3」


「うん。で、人間が横たわっていたら、立ち上がるよね?」


「立ち上がる?……数字は人間なのよね?」


「そう。じゃあ、“+”と“=”は?」


「……横たわってる人、ってこと?」


「その通り。みんな立ち上がったら、いくつになる?」


「あっ、7ね! ふふっ、面白いわね。」


 ほっとした。彼女の笑顔を見て、僕も自然に笑った。


「気に入ったわ、ヒーローK。」


 彼女はテーブルのメモ紙に番号を書き、僕に差し出した。


「私の電話番号よ。いつでも連絡して。――ヒーローKさん。」


 僕は頷き、席を立った。

 去り際、手を振る彼女に、僕も小さく手を振り返した。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。