問39「僕は無敵だ」
「ここかい。ここも異世界なのかい?」
僕と、財務大臣であるもう一人の数多京は、白い空間へと辿り着いた。
「ここは“異世界”というより並行世界だよ。要するにパラレルワールド。分岐に過ぎないんだ。一方、ここは多元宇宙――マルチバースだよ」
「ちょっと待って。さっきは聞かなかったけど、なんで君がナンバーズを知ってるんだ?」
「すまない。隠しておくべきじゃなかったね。君の戦いをこっそり観戦していたんだ」
「なるほど。話が早い。君こそ、この世界の大臣だろう? 使うべきだよ、力を」
僕は、財務大臣の“僕”にパラメデスを手渡した。
「礼を言わなくちゃね。ありがとう。さて、始めようか。実はナンバーズ5は既に倒してあるんだ。ここ (ラブノウズノーバウンダリーズ)か日本か、どちらで決着をつけるか決めたい」
「はあ? ……ちょっと待ってくれよ」
「君に選択の余地はない。僕が決める。僕を倒せば日本に戻れる。どうする?」
沈黙のあと、彼は言った。
「わかった。パラメデスは返すよ」
大臣は淡々とパラメデスを僕に返すと、僕は何気なくポケットに入れた。
「簡単すぎると思うかい? 僕は無敵だ。日本が勝つさ」
僕は自信満々だった。圧勝は確実に思えた。
「ふふふ、それはまだわからないよ。行こう」
僕は“3”の目を押した。
「――僕の勝ちだ」
僕は声を張り上げ、地を蹴って大臣めがけ飛び掛かった。
「――甘い」
大臣は軽くかわした。反応速度が異常だ。大地より――いや、何より速い。信じられない。僕が勝てないとでも? それは耐えがたい。必ず勝つ。
焦りで、僕は“2”の目を押した。速度を得て全力で走る。車より、電車よりも速く――さらに速く。大臣の前で止まると、毎秒九回の打撃を叩き込んだ。
「やるね。だけど、甘いよ。僕はまだ、本気で攻撃していない」
何を言っているんだ。なぜ立っていられる? あの“僕”は、まるで何事もなかったかのように平然としている。
「なるほど。君の弱点はわかった。君の能力は同時には使えないのではないかい?」
「わかった気にならないでくれ。まだ結論は出ていないじゃないか」
次で決める――僕は決意して、“4”の目を押した。




