問2「3といえば……?」
僕は、なんだかんだで大学に着いた。
実は、僕には大学に会いたい人物がいる。
どこかの高校から首席で入ったという彼らは、どうやら今年から僕と同じ大学らしい……あれ、サイコロどうしたっけ?
サイコロは、ポケットにしまっておいたはずだったんだけど、ないなあ?
そうだ。今、足が速くなってるから、帰って取りに行こうかな。
僕は急いで帰ろうと……思いっきり片足、即ち右足で地面を蹴った。
すると、僕の体は、空高く舞い上がった。
「え……嘘だよね。僕の体飛んでる?」
ちょと待って、落ちたらヤバいよねこれ……
「あああああああああ」
僕は落下最中に、記憶を思い起こした。
「よし、大学行こうかな」
僕は、その時気づかなかったんだけれど、どうやらサイコロを落としてるみたいなんだ。
なぜって?
「THREE POWER!!!」
って、サイコロが喋ってたんだ。
それにしても、なんで忘れてるんだろう。僕は。
飛行時間は物凄く長く、まるで重力に逆らい、飛んでいるような気分だった。
落下速度は徐々に増していき、このまま僕の人生は終わってしまうのかなんて考えてしまった。
思いの外、足の筋力が強化されていたのか、なんとか無事着地できた。
周りは見ていなかったったけれど、正直僕が一番驚いていた。
非力で運動神経ゼロな僕が、大学から一飛っびで、僕の家に着いてしまったのだからね?
おかげで、家は滅茶苦茶、両親に物凄く怒られるのか? と思った。
だけれど、二人は「災害がやってきた」「この世の終わりだ」と勘違いしてた。
『あの、息子を災害だの世紀末呼ばわりしないでほしいです』って、声を大にして言いたかった。
いつも世話になってる両親にさえ、サイコロのことは言えなかった。
にしても、このサイコロ凄すぎる。
丁重に扱わないといけないと改めて思ったけれど、やっぱりポケットにしまっておいた。
僕はどこかガサツなのかもしれないけれど、そのガサツさが僕の人生を後押ししてくれる。真面目すぎなくていい。適当でいいんだって、僕は思ったんだ。
だけれど、数学を解く時だけは、僕は適当になれないけどね。
そういえば、サイコロは『パワー』って言ってたよね。
試しに、近くのジムに行って、ダンベルを持ち上げて見たんだ。
僕は、目を真ん丸にして、自分の腕が持ち上げているものを見た。三十キロだった。
周りの人達は「凄いな」「あの子ボディビルダーかな」なんて、勘違いしていた。
僕はただの大学生、不思議なサイコロを持っているだけ、サイコロの目は『3』僕は、サイコロを振り『2』を出そうとしたけど、また『3』が出た。
『3』といえば……彼のことを思い出す。
彼は『3』が好きだった。
彼の名は青空。僕のことを京君と読んでいたっけ。
中学生の頃の同級生だ。久しぶりに「彼に会いに行くか」と、そう心に決めた。
僕は、青空の元へ向かった……
次回までどうぞよしなに




