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1:パラレル・ワールド

目が覚めると、それは決まって六時。

余裕を持って起床して、それから顔を洗いトイレを済ましと支度をする。

学校へは八時に出れば間に合う。


近所だからこその余裕でもある。

切り揃えられたサラサラの黒い髪。決め細やかな白い肌。


名前は吉野悠。


ハルカ、何て女みたいなだが歴とした男。現在17歳、華の高校三年生。

どこにでもいる高校生である。

因みに俗に言う陽キャらしく、容姿は整っているし、そこそこ勉強もできる。友達は普通にいるし某有名似の恋人だっている。


そんな彼はこの日常に飽き飽きしていた。


このきれいな顔をして愛想を振り撒いているが当の本人は割りと冷たい人間だ。

話しかけてくるクラスメイトになんざ興味はない。部活なんてものも回りのレベルが低すぎるから入る価値もない。恋人とのデートだって飽きてきたし、束縛が鬱陶しいのも事実。家族はそこそこ優秀な俺に優しいのでまだ使えるが。





いつから『違う世界にいきたい』なんて考えるようになったのか。


アホみたいにネットで調べた方法を試した。周りが嫌だ。

思い通りまでとは行かないが、うまく生きてきた。

代わり映えしないし、つまらない。

なんなら隕石でも降ってきてはくれないかと何度思ったことか。テロが起きないか?災害は?ゾンビ発生は?


まともに生きるのが辛くなって鬱陶しくて救いを求めたのはネット。

アホらしいけど仕方ない。真面目に科学の力を使ってタイムマシンでも設計?嫌々、俺は自分の力を認めているからな。

軽い現実逃避がお似合いだ。


病んでるとか、そうじゃない。

俺は頭がおかしいのかもしれない。

本当にこの人生は多くの人がなり代わりたいと言うかもしれないのに、俺は早く捨て去りたかった。


そしてついに見つけた。やっとの思いでは入れたダークウェブ。

いかにも胡散臭い情報屋から、千円くらいで売られていた違う世界への生き方が示されたファイルを買い、それを開く。



『現実を捨てたい?』



開くとそれはホームページ形式みたいだ。

真っ白いページの真ん中にやたらとクソでかい日本語が。

少し下には二つの選択肢があった。なんだ、少し面白いじゃないか。

すぐにカーソルを合わせると、迷わずにクリックした。



< ▼はい いいえ >



少し間があって、次に出てきたページは異世界を望む理由だった。

筆記欄に文字を打ち込んで、選択肢をチェックした。

すべての動作に迷いはない。



なぜ捨てたいの?

[飽きた。]



命は惜しい?

< ▼いいえ >



どんな世界でもいいの?

< ▼はい >



後悔しない?

< ▼はい >








…新たな世界の情報を読み込んでいます



…解 [飽きた。]



…Qの意向を了解しました。一部世界に変更を施します。



…Kの意思を反映します。<吉野 悠>に補正をかけました。





…世界を読み込みました。改変します。














…差し込んだ光が眩しくて、ふと目が覚めた。

どうやら寝ていたようだ。机上のパソコンの画面は真っ暗で、時計に目を向けると針は四時を指していた。

窓を見ると薄い明かりが差し込んでいるが、まだ暗いので、朝の四時だろう。


しかし寝落ちとは最悪だ。とりあえず学校前に風呂に入らなければ…

重たい体を起こして扉を開ける。


下には父親、母親、年の離れた姉と二つ下の弟寝ているので起こさないようにと階段を下る。




…?




この家、俺の家か?

違和感を感じたものの、何も変わった様子はない。

いつもの俺の家だ。



しかし俺はまだ気がついていない。



泥だらけの俺の靴。しわくちゃの制服。


すべてが変わってしまったことに、気づいていなかったのだ。



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