第37章 初の囲碁考査の日に於いて
此の日、初めての囲碁考査を行った。先ずは部員を机と椅子の在るC教室に移動させ、その間に顧問の羽咋先生に頼んで内田の考査を職員室で印刷して貰った。結局内田はあの後に表紙を作ったらしいが、解答用紙までは手が回らなかったらしく、僕が作成した物が採用された。最初は、内田が囲碁基礎α、僕が囲碁基礎βを担当して居たので内田の分を先に実施する予定だったが、印刷に時間が掛かりそうだったので、予定を変更して僕の考査が先に実施される事となった。まあとは云え僕の方は語句が中心だったので、後から追加した記述以外は簡単だったろう......、と思ったのだが、意外と出来が良く無い人が多かった。又、用語の読みは分かるが漢字が分からないと云う声も有った。確かにいつもの部活で板書する事などは無いので、まあ致し方無いのだろうと思う。選択肢が欲しいと云う声も有ったが、正直其れは甘えだろうと思った。
そうこうして居る内に内田の方の印刷が終わった様で、αの方も実施された。此方は比較的実用的な知識を問うた物になって居たのだが、全体的な出来は比較的良かったのではないかと思った。では語句の知識はあまり重要では無いのではと思う人が居るかもしれないが、囲碁では対局後に其の対局の何処が良くて何処に改善の余地が有ったかと云う事を話し合う「検討」を行う事が多く、其の為に用語の把握も重要なのだ。
考査終了後採点を行い、欠点者に取り敢えず吉田先生から貰って居た詰碁(囲碁の問題)を渡した所で、此の日は顧問の事情の為午前中のみの活動申請だったので、部活を終了する事にした。とは云え、未だ時刻は午後一時。顧問側の都合なので、我々の方は暇である。折角なので何処かで囲碁を打てないだろうかと云う話になり、内田が「霧雨児童文化センター」を提案した。
霧雨児童文化センターは、所謂児童館の様な施設だが、小学生から高校生まで幅広くの層に利用されている。様々な道具の貸し出しも行って居て、囲碁の道具も借りる事が出来た筈だ。場所も学校から徒歩5分程と丁度良い。僕は中学の時卓球部員だったので、卓球をしに行った事は有るがかれこれ長い間行って無かったので、久しぶりで楽しみだった。
実は此の思いつきが、今後の僕の人生を大きく左右する事になったのだ。




