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「先輩顔赤い」
そこはそっとしておくのが大人というものなんだよ樹め。
ちょんと頬をおされてますます赤面してしまう。
「…先輩もこれすきですか?」
そういえば最近やたらあれは好きかこれは好きかときいてくるきがする。
「んー嫌いじゃないが普通にカフェオレのがいい」
答えてはいるが、樹はそのたびに寂しそうに笑うんだ。
だから最近は少し詳しく答えてるんだがそれでも変わらなかった。
なんなんだろう。
「で、亮なんでだ?」
「知るか」
ですよねー。
「直接聞けば」
「んーなんかどう聞いたらいいかわかんなくて」
亮は、ふーんとデータの打ち込みを続ける。
「普通に聞けばいいんじゃねーの」
「そうだけど…」
それは分かってるんだけど。
きいたら、なんだか取り返しがつかなくなるような気がして。
……何の?
わからない。
「…帰る」
「拗ねてんの?」
「別に拗ねてない」
考えるのが怖いだけ。
予想つかないけど答えを出すのが怖い。
なんでもないことなはずなのに、なんで俺こんななってんだろ。
自分で自分がわかんなくなっていく。
それもまた怖くて。
「今日は部活からもにげといてなにいってんだか」
「…3年だから自由参加なんだよ。分かってんだろ」
「お前が休むのが問題なんだよ。怪我して参加できないのに、顧問やら主治医やらに頼み込んでマネージャーになってまで部に残ったのはどこの誰だっけな」
「……」
だって。
部活にいったら樹がいるじゃないか。
昼に食事終わってから、いつもは一緒に部活に出て終わったら寄り道しながら帰ってっていう日課を今日は放り出した。
「ちゃんと話してこい」
亮が顎でくいっと外をさした。
「外がなんだよ…あれ、樹? え、なんで」
「さっきから忠犬やってるぞ」
亮の位置からちょうどうちの玄関みえる。
さっきからチラチラ外見てるなとは思ってたけど。
表札の下で携帯片手にすわりこんでいた。
あ、俺スマホ鞄にいれっぱなしだった。
「はやくいえよ!」
「話したくないってごねてたくせ……っておまえ荷物」
飛び出した俺に亮がなにかいってるがそれどころじゃない。