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第三回 日本共和国と天皇

毎度です。柗本保羽です。


 令和元年おめでとうございます、万歳! と言ったのも先日、もうあれから九日十日経とうとしているわけですが、此度 明仁陛下が譲位され上皇陛下になられ、徳仁今上天皇陛下が即位され、という話題の中に、やはり出てきたのが女性、女系天皇論。

 で、昨今、『国政日本維新の会』が、女性宮家創設について議論するというニュースが出てきましたが、それに呼応したのかどうかは知りませんが、本日、例の『維新の会』元ボスの橋本某氏が、


https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1126082871347703809


 こういう話題を持ち出したりと。


 まあ、それでもこういうことに議論するのは本来良いことなのですが、ただ女系天皇論に関して言えば、正直何をどう言っても、やはり基本『やったらダメ』という結論しか出てこないのが実際のところ。

 その理由は、やはり日本の皇室が世界に誇れる『万世一系』を守らなければならないからという理由があり、そしてその障害として、現行の皇室における皇族の男不足による将来の危機とか……

 まあそこらあたりはもう今まで言われてきたとおりのことを改めて書いても仕方ないので、そういうところなのでしょう。

 で、その万世一系を守るために、昨今はかつてのGHQが勝手に廃止した旧宮家の復活とか、そんな議論もされています。


 で、そこで私が、私の件の作品、『銀河連合日本』を書いていた際、いろんな資料を見て、日本の政治体制諸々、そういうところから見た『私個人の意見』として、なぜ女性宮家、即ち女系天皇をやってはいけないか、女系天皇でもなんとかならないのか? という分析を、此度は書かせていただきたいと思いまする。


    *    *


 で、ます、日本において女『系』天皇の何がまずいか。それは元々の始まりが、男性天皇即位を基準に、男系の家系で天皇家が代々世代を積み重ねてきたがゆえに、万世一系の伝統を守るために、天皇は男系でなくてはダメという理由が挙げられます。

 これは銀連本作でも、まあオーバーなエンタメ的喩えではありますが、私は当時、『この平成の世でも、日本は大和朝廷なのである』と書かせていただいたことがあります。


 で、世界の王朝が終焉するときの基準が、その一つの家系の断絶であると定義すると、現在の日本は、実はまだ大和朝廷といっても正直過言ではないのが現実なのですね。これはなにはさておき万世一系の男系天皇の血統が脈々と受け継がれてきているからであり、その歴史でやはり『世代交代の危機』がありましたが、それでも男系天皇の親族をなんとか縁組したり、ピンチヒッターで『女「性」が一代限りの天皇』をやったりとか、そんな努力の積み重ねで、二千三百年とも、科学的に確認できるだけでも千六百年だとも言われる、それこそ『世界遺産級』の天皇家という日本の偉大な『資産』を皇室は守ってきたわけであります。


 で、そこで、いま出た言葉……そう、この『世界遺産級』で『資産』であり、『威厳』であり、『価値』という視点で見た皇室という存在。

 これと、現行の日本の政治体制を併せて論じた場合、現代の皇室において『女系天皇』が如何にまずいかということがよくわかるわかりやすい事例が説明できるという事になるわけです。


 さて、では、今の戦後の日本国の政治体制、これはどんな政治体制か? と問われれば……

 皇室があるから『立憲君主制のようなものだ』という政府見解があるので、英国や、現在多くの王室が存在する国家の政体である『立憲君主制』だと日本は思われているかもしれませんが……これは大きな間違いなのです。


 英国王室のように、王室自体が『君臨すれども統治せず』という言葉で知られるように、王がその国の『君主』であると明確に定義され、『君臨』即ち『主君として国家に在ること』というこの言葉の意味の通り、元来の国家の所有者である王室貴族がその国の権威ではあるが、国家運営は国民と法律に委ねて、王室貴族が君主としてその国に『君臨』している状態を、本来『立憲君主制』と言いいます。なので、現代多くの立憲君主国家に見られる『民主主義の王制国家』という存在が成り立つわけです。

 結果、こういう王室国家は、その国の国家としての威厳と価値が、国王と王室の存在が君主であるという前提で成立するワケであり、歴史のある立憲君主国家の多くが、王室貴族制度を国民が喜んで受け入れているという安定した構図が成り立っているワケであり、即ち、王室貴族制度が国民の利益になっているわけでありますね。


 では、日本の皇室の場合、どうかといえば……

 日本では、その主権の長、つまり君主や元首としての存在はどこにあるかというと、法律で明確に『国民にある』と定義されています。つまり国民から選ばれた議員と、多数政党から選出された政権の組閣する内閣がこの国を運営すると明確に法で定められています。

 で、実は日本には国家元首の規定がありません。なので、法を解釈した場合、この国の国家元首は『国民』という理解になり、その代表である内閣総理大臣が『国家元首のようなもの』という理解になるというのが一般的な解釈とされています。


 つまり、日本という国は、誰が何と言おうとその政体は共和制の『共和国』なのです。

 では天皇陛下のお立場はというと、これも法で明確に規定されている通り、『国家国民の象徴』です。

 『象徴』つまり不遜を承知で例えるなら、天皇とは『モノ』なのですね。これが……


 この考え方が、日本の皇室において、実は万世一系で、男系でなければならい、議論の余地のない最大の理由なのだと私は考えています。


 戦後の日本の天皇陛下は、他の立憲君主国家のような『君臨すれども統治せず』という立場ではありません。君臨するということは、すなわちその国家に、皇室貴族の『権能』があるということになりますが、日本の天皇家皇室には、一切それがありません。


 それどころか、日本の天皇家に皇室は、日本『共和国』の『宮内庁』という行政機関の管轄下、即ち『日本共和国』の管理下に明確にあるのか皇室であり、そのお立場は、どうかんがえても日本政府の『文化資産』という『モノ』であり、日本文化の『威厳』という『概念』にすぎません。


 こんな『政府に管理された皇室貴族』などというのが成立している国家って、有史始まって以来、おそらく現代日本だけではないでしょうか。


 すなわち、ドツかれるのを覚悟して言うなら、『天皇家という価格のつけようがない美術品』ともいえるのが皇室であり、その美術品の最も価値のある部分、そして威厳の概念が集約している部分が、『万世一系』の部分であるわけです。


 美術品というものは、『同一性の保持』が大原則です。この同一性が保持されないと、美術品や、歴史遺産としての価値がありません。


 例えば、大阪城という歴史資産にしても、『大阪城史跡』には価値がありますが『大阪城そのもの』には大した価値はありません。なぜなら中にエレベーターの通った大林組が造った建築物が大阪城であって、同一性が保持されていない遺跡だからです。


 コレと同じで、現在の日本の皇室だと、天皇家や皇室自体に、国家や、その政治体制に対して『君臨する権能』がないためにその価値を『万世一系』に委ねるしかないわけです。

 ここに女系天皇の概念を入れて、世代交代を許し、『万世一系』の概念を壊してしまうと、それこそ『大林組の大阪城』ではないですが、これまでの皇室という威厳の価値が、全くなくなってしまうという『同一性の保持』を崩してしまう大きな国家的資産の損失を招いてしまう現実があるわけです。


 と、まあこんな視点ですが、これはあくまで私こと『柗本保羽』の視点からみた女系皇室を否定せざるを得ない考え方なので、かなり特殊な考え方だとは思うのですが、でも結局今の皇室はここが重要なのではと思うところ大なのでありますね。


 では、女系天皇でも許せる方策はないのか? といえば、実はないこともありません。

 但し、それでも万世一系は崩れますし、天皇の代替わりが発生してしまい、所謂『現代の大和朝廷』はなくなってしましますが、それでも『天皇の威厳を国家の変わらぬ利益とする方法』は、最悪、ないこともありません。


 それは……


『憲法へ明確に「天皇は日本国の君主である」』と明記すればいいだけのことなのです。


 こうすることで、天皇は日本国において『君臨すれども支配せず』という立場を得て、日本国は名実ともに『立憲君主国家』となり更には『日本共和国』から『日本帝国』に事実上なることで、


『どの皇籍所有者が天皇でも、日本国の君主としての歴史を紡ぐ存在』になることができるわけで、万世一系であった時代も、日本の君主国家としての皇室のイチ歴史として語ることができるわけで、その価値を守ることができるのではないかと思うわけであります。


 そう考えると、実は日本の皇室における最大の問題点とは、天皇が『象徴』で、政府に管理されていることが問題なのであって、天皇家皇室が『君主』になれば、全て解決する話なのではないかと、そんな風に思うわけですが、皆さんはどうでしょうか?


 といいうことで此度はここまで。


 おしまい。






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