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8 始まります

 紫レンジャーと舞踏会なんて冗談じゃないわ。とため息をついた私を見てサマンサは

「エド様はお嫌でしょうか?」

 と心配そうに尋ねてきた。あはは、直球ね。ホントは嫌だけれど、さすがにお父様に雇われているサマンサにそう言ってしまうとサマンサも困るわよね。

「嫌とかではなくて苦手、向こうもよく思ってないのは伝わってくるわ。確かに私がはっきりと何者かわからないから嫌なんでしょう。それはこちらも十分承知してるし、できたら近づきたくないわ。でも、家族ぐるみの付き合いみたいだし、ここは私とエド様が我慢するしかないわよね。私以外家族のみんなはエド様が好きみたいだし」

「そうですか。でも、エド様は大変女性にはやさしくて社交界では人気があるそうですよ」

 へぇーまぁ見た目だけならそうかもしれないわね。すらっとしてるし顔はイケメンでアメジスト紫の瞳に栗毛色の髪だから、素敵って憧れる令嬢たちがいるのはわかる気がします。

「そう。でもわたしにはそうは見えないわ。サマンサだけに言うとね、エド様は私に対しては冷酷非道で慇懃無礼なのよ」

 空気を読む日本人なめるんじゃなくてよ

「冷酷非道で慇懃無礼ですか」

 さすがのサマンサも私の口から出てきた言葉にびっくりしてるみたいです。

「そうよ。丁寧で私に対しても礼儀正しい態度だけれど目が笑ってない。あんなの形だけよ」

「そうですか」

 そうよ、いつも観察されてて、上から目線だし。もう言い出したら止まらなくなってきた。

「大体大きな猫かぶりすぎよ、まぁ私だって一生懸命猫をかぶってるから人のことは言えた義理ではないのはわかってるのよ、でもやりすぎでしょ」

「猫ですか……」

 さすがのサマンサも私の猫かぶり発言には驚いたようで、いつものポーカーフェイスが崩れています。

「舞踏会は絶対にお兄様と出ますから」

「エド様はお断りされるのですね」

 もちろんです!絶対に嫌ですから。ただ1つさっきから心配なことがあります。

「サマンサ、舞踏会って踊ったりするのよね?」

「そうでございます」

 私そんなことできないんですけれど……どうしよう。家族に恥はかかしたくないんだけれど。1か月あるから、頑張るしかないのでしょうか。

「練習とかできるのかしら?」

「まぁ、ご自分からそう仰るなんて流石お嬢様。明日から忙しくなりますね」

「へっ、ちょっと待ってどういうこと?」

 なんで忙しいの?私居候、いやニートですのに

「社交界デビューとなりますのに、あと1か月しかございません。明日から淑女教育だと旦那様がおっしゃっておられました」

 そんな、ちょっとダンス程度でも尻込みしてたのに淑女教育とか無理絶対無理~!

「きっと皆様期待しておられると思います」

 うっ、それを言われると痛いですね。仕方ないです家族の為なら頑張るしかないです。

「そうね、が、がんばるわ」

 エディハム ウィンスター マリー ただの居候だったのに男爵令嬢で、知らない間に淑女教育が用意されてました。


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