表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

6 どういうことでしょう

 ママさんと一緒にシェフお手製のデザートを堪能していたら、兄さんと紫レンジャーがなにやらボードゲームを始めました。

 男性はデザートはやっぱりいらないのでしょうか。なかなか楽しそうです。そっと近寄って見てると、パパさんが私にルールを教えてくれました。

 すごく将棋に似ているゲームですね。

 いやチェスに似ているのかもしれませんが、私にはチェスのルールがわかりませんから将棋もどきということで。

 始まって間もないのに、どう見ても兄さんが負けてるように見えます。

「マリーなら、この後どうする?」

 とパパさんに聞かれたので

「右の白騎士を左の空いている所に動かします。そしたら、その後相手の騎士も動くしそれから3手後にはすぐにいい感じになるはずです。」

「なるほど」

 パパさんはニコニコして

「マリーはすごいね」

 と褒めてくれました。

 えへへ、なんだか嬉しいです。

 なのに、兄さんたら全然見当違いのことをして……


 あーあー、やっぱりあっさり負けちゃいました。

 兄さん弱すぎです。


「エド様にはやっぱり勝てないなぁ」

 という兄さん。

 いやいや、兄さんが弱すぎますよ。

 生暖かい目で兄さんを見ていると

「負けるにしてももう少しどうにかなるだろうアレックス」

 ってパパさん言っちゃいました。

 まぁ私もそう言いたいですね。

 だって兄さん直感的にコマを動かしすぎですよ。

 でもそんなこと、妹に言われたらショックだろうし、パパさん言っちゃだめですよ。

 内緒ですってば。

「エド様が強すぎるんですよ」

 って言った兄さんを見て

「そうか、マリー?」

 えっ、なんでこっちに話を振るのパパさん!

「紫じゃなかった、エド様は大変お強いと思いますよ」

 危ない。本人を目の前につい紫レンジャーなんていうところでした。

「確かにエド様は強いが、アレックスよりマリーの方が強いだろうから、エド様のいい相手になるだろう」

「まさか」

 いや、兄さんそんなにびっくりしますか?

 もしかして自分がめっちゃ弱いって気づいてない?

「なるほど、ではお相手願えますか」

 紫レンジャーがにっこり笑った。

 ひえぇ、顔が笑っているのに、なんで目が笑ってないの。

 怖いからやめて……


 仕方なく、2人で将棋もどきをすることになりました。

 パパさん余計なこと言い過ぎ~!


 結果は、聞かないでください。


 ええ、遠い目をしている私の周りで家族が騒いでます。


 ほんの、もうちょっとで勝てそうだったのに、こん人強かったです。

 本当はちょっと自信があったんです。

 実家でアマチュアの段持ちの父の相手をしていたので、結構私もいい線いっていたと思うのですが、残念です。

 きっと将棋なら勝てたのに~

 この変形ルールのせいだ~!

 そんでもって兄さんが対局中ずっと横でうるさかった!静かにしてください。


 紫レンジャーはというと

「久しぶりに手ごたえのある勝負でした。またお手合わせ願いたいですね」

 すっと目を細めて、笑われました。

 なんか、今悪寒が走りました。呪われそうです。

「い、いえ」

 なんて断ろうかと理由を考えてたら、

「そうですね。エド様、次回は来月の満月の日にどうですか?」

 なんでパパさん、勝手に約束とりつけてるんですか~!

 やめてくださいぃぃ

「満月の日ですか」

 エドさんも確認するんじゃないの!

 2人とも満月の日ってオオカミ男じゃないんだから!

「ええ、ゲームをしてから出かけられてもよろしいのでは」

 何お勧めしてるんですかパパさん、紫レンジャーが出かける用事があるのなら来ていただかなくて結構ですよ~

 わざわざ来ないで下さい。

「そうですね。その時までにそちらが間に合えば」

 誰が? 何に間に合う??

「わかりました」

 って、パパさん勝手にわかりましたって、なんのお話ですか?

 ママさんは「まぁっ」っていうだけだし、兄さんは

「だめだっ、それは僕の役目だ」

 とか言ってるし意味わかりません。

 兄さんが

「マリー、エド様より僕がいいよね?」

 って肩をつかんでぶんぶん揺さぶり始めました。

 前回もそうでしたが兄さん、プライベートスペースに入りすぎですよ!

 そ、そんなに振ったら私の首がもげます。

「アレックスやめなさい。マリーが困っているぞ」

 パパさんありがとう。もう少しでもげるとこでした。


 首もげ未遂事件でさっきの事をいい感じでみんなが忘れかけてましたが、紫レンジャーがいきなり

「それではどちらがよいかは、本人に決めてもらいましょう」

 と言ったので、みんな一斉にこっちを向きました。


 なんで、そのままにしてくれなかったんですか!

 そして、なんの話なのよー! 

 しかし今さら何の話ですか?


 とは雰囲気を読む日本人としては言い難く、叫びたい気持ちを押さえて

「もう少し考えさせてください」

 と必殺日本人曖昧笑顔で返しました。


 やり手パパ笑顔×紫レンジャー笑顔×シスコン兄悲痛=私嫌な予感しかしません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ