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4 着てみました

 家族そろっての朝ごはんの後に、お仕事に行かれるパパさんと兄さんを見送るとママさんに呼ばれました。なにやら洋服をくれるらしいです。確かに、まだ日本から来た洋服のままですものね。


「ほら、マリー見て見て、これすごくかわいいでしょう。これはねあの人と初めて出会った時に来ていたものなの。ほら、これはお出かけ用でね」

 ママさんがメイドさんに言ってわさわさと出してきてくれた洋服は、ママさんの娘時代ので、とにかくすっごく可愛です。しかも量も半端ない……何着あるのこれ?

 こんなに着れません。ただの居候なんだから普段着っぽいワンピースで十分です。

 なのに、ママさんが「私に一押しなの~」って持ってきたのはどう見ても、「とっても素敵」「豪華」という形容詞がぴったりなドレスです。

「きっとマリーに似合う」

 これを私が着るということですよね。どうしましょう。

「どうしたのマリー」

「いえ、このような服を着たことがないので」

 いまいち着方がわからないのですが、これって後ろボタンなのに自分で着られるんでしょうか?

「あら、大丈夫よマリーはとってもかわいいもの。きっとどんな服でも似合うわ」

 ママさんには全く私の気持ちが伝わってなさそうです。そういう意味じゃなくてですね。

「えーと、服の型がですね」

「心配しなくて大丈夫よ。少し型遅れのは直すことにしていて、今日お店から来てくれますからね。もちろん新しいのも作りましょうね」

 えっ、そういう心配じゃないですよ~

「ほらほら、とっても似合いそうだわ。これは今また流行し始めてるから着てみるといいわ」

「はい」

 ママさんがニコニコ嬉しそうに言うので、何とかなるだろうと着てみることにしました。やっぱり1人では着れなくてサマンサに手伝ってもらいました。

 アラサーですが女子ですしドレスを着ると気分が上がります。ええ、私もちょっとその気になってきました。ママさんにくるっと回って見せると

「まあ、かわいいわ!」

 と手を叩いて喜んでくれました。ママさんのそのしぐさの方がすごく可愛いんですが。

「お似合いでございます」

 ママさんだけでなく周りにいたメイドさんも次々と褒めてくれます。ええっと、ここまで褒められるとまるで褒め殺しです。本当に似合っているのか不安になった私の前に、サマンサが姿見を持って来てくれました。さすがサマンサ。この世界でも鏡が作られていたんですね。よく考えたらベルサイユ宮殿にだって鏡の間がありますもんね。


 どうかなぁ、ちょっとは似合っているといいのですが……


 ええと…… これは似合っていると言うのでしょうか?


 サイズ的にはピッタリなんですがね、黒髪ってこういう時微妙ですね。ちょっと残念な感じのコスプレに見えます。

 ウィッグとカラコン欲しぃぃ~ 

 なのにママさんは

「とりあえずはこの洋服でいいわね。でもほら、こちらも素敵よ」

 と言ってにこにこしながら別のお洋服を広げました。それはどういう意味でしょう?

「ほら、こちらも着てみて」

 しばらく、いえお茶の時間以外テンション高くなったママさんにお付き合いして、着せ替え人形ごっこ&リフォーム依頼に励みました。結構疲れてました。窓から見えるお日様が夕日に見えるのですが気のせいでしょうか?

 

 着せ替えごっこそれなりに楽しかったですが、アラサーにはきつかったです……


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