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入眠時の幻
落ちていく、深い谷の底まで。もちろん比喩だけれども。
体が動かない、動かしたくない。
しかし落ちきって眠りの淵に沈めない。
「これでいいの」声が聞こえて、驚いて目を開けてしまう。
そんなことの、繰り返しだ。
目の前にはノイズがかかる、時々光が輝く。
懐かしい記憶が、走馬灯のように浮かぶ。
関係ない言葉も、世界も浮かぶ。
それをぼんやりと見ながら、私は寝返りを打った。
浮かんでいく、遠い空の向こうまで。これも比喩だけれども。
体は動かない、動かしたくない。
一ミリ沈んで、二ミリ浮かぶ。そんな感覚を味わう。
今日はシャボン玉の夢が見たいな、だってこんなにふわふわしてるから。
思考が止まり、あふれる景色の垂れ流し。
色はない世界。音の溢れる世界。
私は空に飲み込まれて消えた。




