7回目
階段は普通の倍近く上って、ようやく踊り場に到着する程の距離があった。
そこを痛む足を何とか持ち上げて進んでいく。
「ふぅ」
ようやく二階に到着すると、張った太ももをほぐすように擦り、また前に進む。
外側と同じく白で統一された壁や廊下が、日の光をまぶしく反射していた。そこを二人は目を薄くして歩いていく。
「真っ直ぐだったよね」
「右が01で左が03だっけ」
「どっちだったかしら。まぁ02は真っ直ぐって事は覚えているから、いいじゃない」
「そうだね」
ノウに教えられた通りの道を進む。
振り返ると、五十日前に連絡があってから一度も詳しい説明を受けていない。最低限の情報だけ与えられて、ここへ辿り着いてはいるが地図の一つも添えられていないのはどうかと思っていた。建物まで到着しても、案内の一つも無い。彼に会わなければ、まだまだ目的地までには時間が掛かっただろう。
「あ、あったよ。ほら、02って書いてある」
シズクが指差した先には確かに数字が壁に大きく書かれた部屋があった。
戸の前まで進み二人が立ち止まる。
「……よいしょ。重い」
シズクが体全体で厚く丈夫そうな戸を横へスライドさせる。セイジが片手だけ添えて一緒に押してやると、戸はカチリと鳴り、開いたままで固定された。
二人が視線を戸から前に戻す。
「あっ」
ほとんど同時に声を漏らした。
部屋には既に二人が先におり、所在なさげに床に腰を降ろしていた。
「……どうも」
「こんにちは」
セイジとシズクの挨拶に二人は軽く頭を下げて答えた。
男女それぞれ一人ずつ。部屋の後ろ側の角、両端に別れて二人は静かに時間を潰していた。
先にいた二人はどちらもセイジとシズクより肌の色が濃い、褐色の肌を持っていた。




