表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星船  作者: カジ
2/16

2回目

セイジの目の前にカードを突き出す。

表には『星船操縦士技術士育成機関』 と書かれている白いカード。セイジが持っているものと同じなら裏には名前と管理番号が書かれているだろう。

「えぇ」

 後ろに少し退けて答えると、スーツのポケットから同じものを見せる。

「やっぱり。この駅ったら、機関に行く人しか乗らないわよね。広い建物だからきっと土地の安いところに造ったのよ。だから周りに何も無くて関係者以外は誰も行かない」

 女は得意げな調子で早口で言った。

「それからあそこは寮だから、若い子が行くってなったらおそらく一年目、それもなれない正装に“着られている”若い子ってなったらもう」

 女は一人で頷き、他に誰もいないホームで八の字を描いて歩く。

「ねぇ」

 そう言いながら女がセイジのネクタイを真っ直ぐにする。

「……あぁ、すいません」

 セイジが言うと「人の事言えないかしら」と、首を回せるだけ回して自分の服装を確認している。

「星船操縦士技術士育成機関行き、まもなく到着します」

 起伏の無い機械的なアナウンスが流れた。女がホームへ身を乗り出すような格好で電車が来る方向を眺める。

「危ないよ」

「大丈夫。ほとんど人がこないっていうのに、これもあるし」

電車のドアと同期して開く、透明な素材で作られた壁を指でなぞった。

「本当に、お上のお金の掛け方はわからないわ」

「そうだね」

二人は電車に乗り込むと間に一人分の間隔を空けて腰を降ろす。他の客は誰もいない。窓は無く、走っていてもほとんど振動を感じさせない車内。ホームと変わったのは立っているか座っているか位だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ