10回目
「えっ?」
セイジは無意識に声を発していた。
「ヘキ星同盟とソウ星同盟。この二つが我々の知っている宇宙の大半を支配している」
ザンは周囲の驚きには興味が無いように話し続ける。
「同盟なんて名ばかりだがな。盟主であるヘキ星を含めて同盟を構成している星には階級を割り振られている。ヘキ星の王からの要請に素直に応えた場合。極一分の勢力が反抗をした場合。大多数の勢力が反抗をした場合。反抗をしたが降伏をした場合。最後まで降伏をせずに征服された場合」
細い指を一本ずつ立てて説明をする。
「反抗の被害等でもっと細分化されるが、大まかに分けてこんなところだな。ちなみに君達は、極一分の勢力が同盟加入を良しとしなかったが、自主的に鎮圧した事で素直に応じたものと分類されている」
ただ一点を見つめ続ける者や、視線を忙しく移動させる者。反応はそれぞれだったが、ザンの話には不思議な説得力があり誰もがその内容に疑いを持っていなかった。
「それらの星に住む人々は二級市民と呼ばれる。つまり君達は二級市民という事だ。そして、後ろに三級に四級が続く」
全員を囲むように指で輪を作る。
「数が多くなると色々と制約が多くなるが、その中でも大きな違いが二つある。今、君達の平均寿命がどれくらいか知っているか?」
セイジは頭が回らない。普段よりずっと遅い思考でこれまでの事を思い出す。
「二百年。今この星で最高記録は二百五十くらいだったかな」
身の回りで誰かが死んだという事が無い。答えが出たのはザンが続きを話し始めてからだった。
「特にこれは驚く数字じゃないだろう。君達も周りを見れば大体そんなところで落ち着くだろう」
一瞬視線を下ろし、手に持った端末で時間を確認する。残り時間が思いのほか少なかったのか、早口で続ける。
「だが、我々ヘキ星同盟に加わる前のこの星の平均寿命は七十年にも届かない。それがどうして、倍以上に増えたのか。これほどの劇的な変化はどうして起こったか」
ザンが辺りを見回す。誰もその答えを考えている様子が無いのを確認して、小さく息を吐く。
「まぁ答えは簡単だな。薬だ」




