『イデアルIDEAL』
『イデアルIDEAL』
導師とそれを補佐する副官の三名と、実行部隊十二名で構成される“理想主義”を謳う非合法組織。それは秘密結社と言うべきか。
一名が欠けると、また一名が補充される。
特務官No.702による『イデアル』の説明。(虚偽)
※『五世界幻想譚-The Fantasy of Five Pieces-』においての、
「『イデアル』という組織は『世界統一化現象』の直後に突如この五世界に現れた組織。その『イデアル』という組織が直接手を下して『世界統一化現象』を終わらせたのか、それとも、その『イデアル』という組織を怖れた『イニーフィネ』『エアリス』『オルビス』『イルシオン』そして『ネオポリス』が手を取り合ったことによって『世界統一化現象』が終息したのか、それは誰にも分かりません」
「『イデアル』の構成員は十二人であると思われます。彼らは日の当たらない陰で暗躍し、活動内容は主に破壊活動。活動の意図は理解しかねますが、この惑星イニーフィネ全球規模で混沌と争乱を起こさせたいという意図があると思われます」
次代の導師候補であった結城魁斗『黯き天王カイト』による『イデアル』の説明。
「導師さんが僕に語るにはね、健太っ。『我々『イデアル』は五つ異世界の共存を図る者。我々『イデアル』は五つの異世界の権衡者―――五つの異世界が迎合・戦争することはあってはならない』んだって。違う異世界同士が出会えば、必ず衝突や戦争、迎合が生じる。その先にあるのは不幸しか存在しない。健太、地球の世界史はどうだったかな?よく考えてみてよ」
「僕達『イデアル』は人員を入れ替えつつ、古来をより、うん、より正確に言えば、僕達『イデアル』は『世界統一化現象』を機にこの五世界に誕生し、そのときより連綿と受け継がれしもの」
「僕達『イデアル』は崇高な精神で『五世界』という枠組みを護る防人―――僕ら『イデアル』は五つの異世界の権衡者だ」
「権衡者―――だと?」
「うん、そうさ。僕達は『五世界』という枠組みを管理し、維持させる存在。『五世界』の共存共栄という理想を成すためには、多少の犠牲は仕方ないと思ってるよ、悲しいことだけどね。むしろ強者の糧となったその弱き者達は、崇高なる理想―――素晴らしき未来の礎となったことを喜び誇るべきなんだ」
「ルメリアのラルグス義兄さんの口癖でね、『敗者は勝者の糧となれ』ってあるんだけど、健太もそう思うでしょ? ねぇ、健太、聞いてほしい。大きなことを成そうとすれば、必ず多少の犠牲は伴うものなんだよ。それすらも僕達は乗り越えて征く。五つの異世界が同居するこの惑星イニーフィネをよりよい未来に導くために!! 僕達は『互いに干渉しない理想的な共存共栄の五世界』を造るために、この『五世界』を常に観測し、介入し、改変し、当事者同士が僕達『イデアル』の言うことを聞かないときには実力行使に出る『理想を成すために我々は在る』んだ―――!!」
『十二人会』の会合に際しての『導師』の唱和。
「―――我ら『理想の行使者』の五つの誓いの斉唱。この惑星に存在る五つの異世界が迎合・戦争することはあってはならず―――、」
「一、我々『イデアル』は、崇高な神の如くの思考にて、五つ異世界の共存を図る防人。五つの異世界の共存の使者。我々『イデアル』は、五つの異世界の権衡者である」
「二、我々『イデアル』は、崇高な神の如くの理念にて、五つの異世界の枠組みを護る番人。五つの異世界の均衡の使者。我々『イデアル』は、五つの異世界の権衡者である」
「三、我々『イデアル』は、崇高な神の如くの概念にて、五つの異世界を争いから遠ざける平和の使者。五つの異世界の博愛の使者。我々『イデアル』は、五つの異世界の権衡者である」
「四、我々『イデアル』は、崇高な神の如くの正義にて、五つの異世界の神罰の代行者。五つの異世界の神の如き雷の使者。我々『イデアル』は、五つの異世界の権衡者である」
「五、我々『イデアル』は、崇高な神の如くの仁慈にて、五つの異世界を救うための遣人。五つの異世界の救済の使者。我々『イデアル』は、五つの異世界の権衡者である」




