このような場において、全く違う“物語”を長々と語るのは、少し気が引けるのだが、、、二
このような場において、全く違う“物語”を長々と語るのは、少し気が引けるのだが、、、二
その前後にオルビスを統一した新生ルメリア帝国から、『自由イルシオン解放戦線』に使者がやってくる。使節団団長はレオン=バシレウス王子。
彼は祖父アレクシウス帝の名代だといい、オルビスに亡命していたシャーナ家。その跡取りリリアン=シャーナ・ディ・イルシオンも、そのオルビスからの使節団にいた。
オルビス・ルメリア側は、シャーナ家との盟約で、見返りなしに『自由イルシオン解放戦線』を支援し、イルシオンと同盟を結びたいという書簡を、『自由イルシオン解放戦線』の名目上の長であるカクトゥスに渡した。
ちょうど会談がまとまりかけ、佳境に差し掛かったとき、『自由イルシオン解放戦線』の実行部隊の指揮官であるアルスランとロサが、旧タワンナ領イニーフィネ総督を捕縛し、帰還する・・・。
そこでアルスランは故国を滅ぼしたルメリア帝国の王子レオンに初めて会う。
「―――、、、っ」
さて、アルスランはどうするか?自身の仇討ちかそれとも、組織のために、自身の心を圧し殺すか。
一方、
事態を重く見るイニーフィネ帝国の指導部は、『自由イルシオン解放戦線』を懐柔すべく、同じイルシオン五侯家の一つで、イニーフィネに降っていたクイーナ家のオルテンシア=クイーナ・ディ・イルシオンに軍勢を持たして寄越してくる。
そして、そんな彼女オルテンシアの副官はスゥという若い女性だった―――。
「、、、オレの姉ならば、・・・っ。お前はオレの姉ではない。誰だ、何者だ、お前は―――」
「―――ッッ!! そう・・・、実の姉の私にそんなことを言うのね、アルス。それは私達があなた達の敵だから?」
スゥ及びオルテンシアの近衛兵と戦うアルスランとロサ。一方、オルテンシアは、軍を率いてシンとヴィオラと戦う。
「・・・、あんたがタワンナ家の姫、ヴィオラかぁ。なかなかやるって聞いたけれど、ほんとのとこはどうなのかしらねぇ」
「私のことを知っているのですか?オルテンシア」
「当然でしょ?で、そこの精悍な騎士さまは、―――」
「シンだ。私はヴィオラ姫を護る一振りの剣であり楯―――」
「ふふっ、シンはこの私ヴィオラ=タワンナ・ディ・イルシオンの婚約者なんです・・・(どや)!!」
「ロサ、ヴィオラ、リリアン―――、たとえ、貴女達三つの候家が相手でも、私は敗けられないのよッ!! オルテンシア=クイーナ・ディ・イルシオンが命じる・・・マナよ、我が力に応え―――」
イデアル導師として自分の唯一の失態である『イルシオン滅亡』。それが心にあるから取り合えず、このイルシオン復興運動を静観したい。
しかし、イニーフィネ帝国皇帝チェスターは、それが我慢ならない。
そしてついに本腰を上げ、イニーフィネ帝国本軍を率いてチェスター皇子が『封殺剣』をその手に、イルシオンに攻めてこんでくる。彼チェスターは『イデアル十二傳道師』としてではなく、皇帝としてだ。
アルスランは『封殺剣』を手にする皇帝チェスターと激突。
アルスランは、その壮絶な体験と実戦で会得した生き残るための戦技でチェスターに斬りかかる。徐々に自分を圧倒し、凌駕し始めるアルスランにチェスターは興奮と驚きを隠せなくなる―――。
『封殺剣』を破壊され、ついにアルスランの前にチェスターは膝をつく。シン、ヴィオラとレオン、リリアン率いる連合軍の本軍はイニーフィネ帝国本軍を破り、イニーフィネ軍を率いる皇帝チェスターが敗走したことで魔法王国イルシオンの再独立は決定的なものとなる。
///
「チェスター・・・」
「お前はアネモネ・・・、、、手負いの俺を殺しにきたのか?」
「えぇ、ふふっ。あなたはイルシオン王国に敗れたんです♪ イルシオンを想う一人の若者に『封殺剣』も折られ、心も折られ、敗北したんです、ふふっくすくすっ♪」
「くっ・・・!!」
「あなたはイニーフィネ帝国皇帝。ふふっご存知でしょうかぁ。チェスターさんあなたは、イルシオン人に物凄く嫌われていまっす♪」
「・・・くッ」
「つまりは『私の敵』、ということですね、―――ふふっ、くすくすっ♪ さてさて~、では、アネモネ=レギーナ・ディ・イルシオンが命じる・・・マナよ、我が力に応え―――」
「待て、アネモネ。チェスターを殺すな」
さっ、っと、颯爽とアネモネとチェスターの間に割り込んでくる男。その名は―――、
「あ、貴方は、、、・・・クロノス、、、さん」
「ク、クロノス、なぜここに・・・!!」
日下修孝は、くるり、っと、チェスターに振り返る。
割り込んだ先では、まるでチェスターを庇い立ちするかのように、チェスターには背を向けて、アネモネには正面を向いていた。
「チェスターよ。お前は、我々『イデアル』にとって必要な―――、」
ッ、っと―――、
その左手を腰の得物のその羽黒色の鞘に、そして右手を彼は柄に添え―――、最速の抜刀で抜き放った―――。
「―――人間“だった”」
チェスターには見えていた、この日下修孝の最速の抜刀のその動きが。
「・・・、ッ、、、!!」
だが、満身創痍のチェスターには、修孝の剣技を避けられ躱す、或は、防ぐことはできず―――。
銀色の弧を描く、惚れ惚れするような斬道がチェスターを襲う。チェスターの右脇腹から入り、胸を通り、左肩先へと抜ける斬撃。
斬・・・ッ
「ガ、、、ッ、、、!!」
ぷしゃあぁぁぁぁぁあああッ―――
血飛沫。
ドっ、っと、チェスターは崩れ落ちるかのようにその膝を地につけて倒れた。
「お、お前、、、は―――、クロノス」
だが、未だにその眼、その眼光は、倒れてもなお、光を失わず、自身を斬りつけた修孝を睨む。
修孝は、チェスターに“クロノス”と呼ばれた男は、静かにチェスターに語り掛ける。
「『過激派の頭目の抹殺』・・・、それが、あの日下戦争後に俺が導師より受けた依頼だった―――」
「ど、導師の指示ってわけか・・・」
「そうだ、だが違う。俺は俺の意志でお前を殺したいと、ずっと思っていた」
「、、、」
「俺は、お前が引き起こした戦争で全てを失った。帰る所も、居場所も、そして、俺の、、、許嫁も」
「・・・くだらんな、」
「ッ、やっとだ、やっとこの俺の復讐がここに叶う・・・!!」
修孝は、その長大な日之太刀『霧雨』を、その鋩を空に向けて掲げ―――、
※(このような場において、長々と語ったが、そろそろ話を『イニーフィネファンタジア』に戻そう)
///




