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戦国クラス転生  作者: 月本 一
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80 ●九条稙通

感想、誤字報告いつもありがとうございます。

(1535 2月 ●九条稙通視点)

一条家の屋敷の近くにある一条房冬の屋敷を訪ねた。

普段は山城にある一条の別邸で過ごしているらしい。


「一昨日、鏡が届いた。無理を通してすまなかった。あらためて謝罪したい」

まずは先日の失言について詫びる。


「帝に喜んでいただけたなら何よりだ」

一条房冬はにこやかに返してくる。


「献上されたものに比べて質素であったので皆が驚いていた」


「元は献上したものと同じ大きな鏡だったのだが、

大きく割れてしまったので木枠にはめて小さな鏡2つにこしらえ直した物だったのだ。

普段使いしやすいように装飾をしていなかったからな」


「献上品の見事なこしらえと違っていて室への愛情を感じたと、主上も感心されておられた」


「土佐にはよい職人が多く逃れてきている。田舎ゆえに漆などの材料の入手が難しいので

簡素な装飾が多くなるが、それはそれでよいものだ」


「そちらの希望通りに九条家、鷹司家、二条家、それぞれの源氏絵巻は

見にきていただけるよう取り計らっているところだ。しばし時間をいただきたい」


「手数をかけて申し訳ない。見に行くときにはそれなりの礼を用意させていただく」


「このような褒美でよかったのか? 望めば官位をあげるよい機会であったろうに」


「官位があがれば嬉しいだろう、他者と比べて低いと悲しい。

一喜一憂するのは己の弱さなのだと気がついたのだ。

土佐のように遠い地で過ごすうちにそう思えるようになった」


「・・・・羨ましい」


「その若さで関白にまでなったのだ。羨むのはこちらのほうだろう」


「関白とは聞こえがよいが、未だ主上の即位式もできずにいるほどだ。

己の力の無さが嘆かわしい」


「・・・・ひとつこちらからお願いしたき儀がある」


「私でできることであれば」


「知っての通り、一条本家は戦火で屋敷にも被害があり多くの書を失っております。

曾祖父である8代一条兼良の書で九条家で写しがあるものがあれば写し直させていただきたい」


「義祖父である三条西公(実隆)からも頼まれていたことである。喜んで協力させてもらおう」


「失ってから気づく大切さがある。写しの多くを土佐に送らせていただく。

土佐でも写しを作り、周防大内や寺社へ寄進させていただくつもりだ。

写しても差し支えないものがあればお借りしたい」


「九条家で預かっている写本の一覧を用意させよう」


その後、源氏物語や伊勢物語などについて話を交わした。

さすが一条嫡流、造詣の深さに感じ入ることしきりであった。

帰る際に土産を渡された。大量の土佐和紙、墨、筆、硯だった。

どれも土佐で作らせているものだという。

それぞれにまだまだ京で使われるものほど上質ではないと言われていたが、

写しをつくる時に使って欲しいと願われた。

こちらとしても懐具合は困窮しており、助かる話だった。

そして最後に添えられていたのは「小倉百歌」を

上の句と下の句に分けて書いてある「札」であった。

土佐では文字を覚える時に、武家や職人や商人、農民にいたるまで使用しているそうだ。

文化を守り育てる気概を感じた。官位などに魅力を感じないのは本心なのだとわかった。

九条稙通(1507-1594)

10代将軍足利義稙より偏諱を賜い稙通となっている。

妻は三条西実隆の娘

史実では「三好家・九条家」対「将軍家・近衛家」の勢力対立となり、

九条家は三好家寄りの立ち位置だったと言われる。


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