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戦国クラス転生  作者: 月本 一
8/268

8 二面指し

(1525 秋 3歳)

般若心経を唱えている間に準備は整っていた。


先日は競技かるた部顧問としての知識で乗り越えた。

長い教師人生で、文化部の顧問は一通りこなしてきた。

もちろん囲碁将棋部の顧問もやっていた。

最初は初心者の指導くらいができる程度だったが

地合いの強い超名門校の生徒相手だと

こちらの地力も否応なしに上がる。

私の学生時代と違って、今はAIソフトや

ネットでの環境が段違いなせいもある。


3歳児の体力のなさを考慮すると

早指しと急戦で活路を拓くしかないと考えていた。

視線も低くなるから、立ったまま指すことにした。

右手に将棋盤、左手に碁盤を見据えながら指す。


将棋は最新の急戦の戦法は使わずにカニカニ銀を使ってみる。

今後指す機会が増えても対処できる急戦矢倉をベースで組み立てることにする。

先人達が積み重ねてきた引き出しの多さにたよることになるだろう。

問題なのはこの時代の主流である小将棋を打ったことがないことだ。

小将棋ではチェスのように取った駒が使えないのだ。


囲碁はこちらが急戦をしかけても時間を使われてしまうと

仕方ないので、小技・ハメ技を中心に相手の力を推しはかりつつ進める。


大覚和尚からの宗教問答は囲碁用語を駆使して

相手の手筋をほめながらかわしつつ

ノータイムの早指しで目の前の囲碁でなく、将棋の盤面に注目させる。

安並を瞬殺し、囲碁の盤面にプレッシャーをかける。

早々に勝負のついた将棋は途中まで手をもどして

解説しながら検討をする。大覚和尚も質問に加わってくる。


大覚「参りました。」


隣の将棋に集中力がそがれ、将棋の勝負がついた後は

ノータイムで指し返されることでペースを乱され、

半分も進んでない状態で投了の宣言をした。


『勝てた~っ!』


大の字に寝転び、両手を突き上げて声をだした。


大覚「余裕でしたでしょう?。底が見えないどころか枠さえみえませなんだ。」

安並「こちらは手も足もでないどころか、指先さえ届いた気になりませなんだ。」


『いや、ギリギリだったよ。もちろんこちらのほうが強い自信はあったけれど

 3歳児の体力は長く続かないから早指しをして急戦に持ち込むしか

 手がなかったからね。もうすでに眠いし(笑)』


起き上がり、居住まいを正して2人に正対して礼をする。


『盤外戦を多用して、正々堂々とはいえない勝負でしたが、

 物の怪やあやかしの類ではないくらいはわかっていただけましたか?』


大覚「条件としてはずいぶんこちらの方が有利でした。

   見たことも聞いたこともない手、こちらの仕掛けもお見通し、

   正に手の平の上でございました。」

安並「赤子に手をひねられたのです、文殊菩薩様の化身といわれても

   信じるしかないでしょう。完敗でしたのになぜか清々しいほどです。」


『まだ知恵だけの身であります。この世のことは右も左もわかりませぬ。

 どうかこれを機会にお二方にはご教授ご鞭撻のほどお願い申し上げます。』


手をつき、深く深く頭をさげた。


大覚「勝者は万千代丸様、何でもいたしましょう。」

安並「某は惚れ申したっ!。守役を命じられましたが、これよりは

   万千代丸様を主と思い尽くさせていただきたい。」



『お二方ともありがとうございます。改めて後日ご挨拶に伺います。

 ・・・さて、おじい様、父上、さすがに疲れました休ませてくださいませ。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


万千代丸が下がった後、

4人の男達は、今起きたことが信じられないという面持ちのまま話しはじめた。


房冬「いかがであった?」

大覚「完敗でした。まさしく文殊菩薩様のご加護を身に宿しておられるかと」

房家「安並はどうじゃ?」

安並「文殊菩薩様というよりも、阿修羅のような三面六臂の姿に

   見える激しさがありました。」

房冬「文殊菩薩様の加護については、当分の間は他言無用といたしたい。」

房家「安並には厳重な警護を揃えてもらおう。その指揮も頼む。」


こうして、秘匿し守護していくことについて遅くまで話し合いは続くのであった。 


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[良い点] 主人公?教師だった
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