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戦国クラス転生  作者: 月本 一
79/291

79 ●一条房冬の京生活

感想、誤字報告いつもありがとうございます。

(1535 2月 ●一条房冬視点)

京一条家の側に土佐一条家の屋敷を構えた。

玉姫と側室の藤とその子海千代を住まわせる。

私(房冬)もいっしょにいるのだが京の北に少し大きい屋敷を作らせている。

一条の所領は山城国内に点在していて、その中から守り易い立地に

多くの武士が住む家を周りに配置して砦化した屋敷だ。

大平氏や吉良氏の兵を詰めさせて普段は点在している一条家の農地改革や

新しい米づくりを進めていくための拠点でもある。


息子房基は優しい子だ。

文殊菩薩様のお告げを聞いたと言い出してからは

大人びてしまい、とまどう日々ではあったが

玉姫だけでなく、他の室も慕い、弟たちも可愛がる。

朝廷との関係を強く太くするためだと言ってはいるが

父房家と違い、争いごとを嫌い京を懐かしがる私や玉姫

のことを思って京へ送り出してくれたのだ。

房基のおかげで土佐は豊かになり臣や民は笑顔になった。

土佐を守るためにも私にできる戦いが京にはあると思ったのだ。

まずは周囲から攻略する。

財力を生かして縁の深い寺社の修復や寄進を行う。

菩提寺である東福寺や玉姫の実家である親王様の出家先などだ。

次は一条以外の摂関家への支援。一条家だけが豊かであれば妬まれる。

一条家からの支援よりも地方の土佐一条家からの支援ならば先方も受け入れやすいだろう。


朝廷への支援は控えている。

今の帝(後奈良天皇)は潔癖な性格のところがあるようで

過度な献金を嫌っている。そのせいで未だ即位の礼が行えていなかった。

北条、武田、大内などが大口の献金をしたおかげで今年ようやく即位式が行われる。

土佐一条としては他の公家とのかねあいで大口の献金はしていないし、

ほとんどは一条本家を通している。

貿易で手にした品の献上が主で、帝の心を慰める形をとっていた。

その甲斐もあってか一条本家を継いだ弟房通は

昨年左近衛大将に任官し、位の上では私の上になった。

その朝廷から参内の呼び出しがあった。

帝とは初めて会うことになる。


関白九条稙通が場を取り仕切っていた。

「ようやく御前にきてくれたの」


「土佐も落ち着きましたので」


「いつも土佐からの献上助かっておる」


「臣として微力ながらお力になれば幸いです」


「この度の献上の中に素晴らしく輝く鏡があった。

できればもう少し数を手に入れられぬか」


「この場で話すことではないかと」


「主上がお望みである。」


「・・・2つであれば明日にでもお届けできるかと」


「隠し持っておったのか」


「隠すとは異なことを。大きく割れた品に手を加えて

2人の室(妻)に与えた物があります」


「室に与えたものを取り上げようとまでは思わぬ」

突然、帝が御簾の向こう側から直接声を発した。

さえぎっていた御簾があげられる。慌てて頭を下げた。


九条から声がかかる、

「頭をあげてよい」


顔をあげる、独特の空気感を持つお方だ。だが覇気がない。

土佐であらぶる武家達としのぎを削っていたからか、

対峙しての圧力が薄い気がする。

力の無さへの諦観かもしれない。僧侶のそれに近い気がした。


何か応えねばならないだろう。

「主上がお望みとあらば喜んで差しだしましょう。

土佐に問うてみれば、新たに手に入れたものがあるやもしれませぬ」


「代わりとなるものを用意しよう。何か望みの品があるか」

帝が話をするのではなく九条がそのように言う。


「・・・宸筆をいただければ」


「それではつりあわぬ。稙通、左近衛大将にできぬか」

再び、帝が声を出して九条に問いかける。


九条が応える前にあわてて声をあげる

「左近衛大将は本家の房通でありますればそれには及びませぬ。

わが室は源氏物語を好んでおります。

絵巻を拝覧させていただけたら喜びましょう」


「そうか、玉は源氏が好きか。稙通、手配しておくように。

房冬、京に住むようになったのであればもうすこし参内せよ。

土佐の話も聞いてみたい。たいそう豊かであるそうだな」

帝が声をかけてくる。わが正室である玉姫は親王の娘。

面識があったのだろうか。


「・・・・土佐は厳しい土地であります。

毎年いくつもの野分が襲い、多くの川が暴れます。

祖父教房が土佐に下向し、少しずつ少しずつ歩み、

3歩進んで2歩下がる、そんな日々を過ごしております。

私はもう土佐人(とさびと)です。

この京でも土佐のためにできることを探しております」


そう言うと深く深く頭をさげた。

京から出れぬ京に縛られたこの方にはわかるまい。哀れでさえあった。

宸筆とは天皇直筆の書のこと。

能書家の天皇は多く、先代の後柏原天皇は後柏原院流を開いた。


面白いと思った方、

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] 何かの間違いで御宸筆が納屋とか天井裏とかから見つかったりしたら、もうとんでもない事になりそう。
[一言] 官位と家格が高過ぎて国司は与え難いジレンマw 土佐守が従六位下相当しかないから、従五位の房基にも低過ぎるというか…
[一言]  土佐統一したんだから  房冬に土佐守  次に取りに行く予定の伊予守を房基に  くらいの叙任があればねぇ
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