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戦国クラス転生  作者: 月本 一
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70 唐船と望遠鏡

感想、誤字報告いつもありがとうございます。

(1534 1月 11歳)

堺に発注していた唐船が就航した。

船の所有は一条家、運用は堺の商家である納屋にまかせる。

唐船はジャンク船と言われる形式の木造帆船。

朱印船や日明貿易で活躍した外洋を航行できる船だ。

乗組員や管理のことを考えると貸し出すのがベストな運用。


2隻目の建造も始まっている。

事故や難破の可能性も高い。

ハイリターンだがハイリスクなのも間違いない。


唐船が寄港できる港として下田と宿毛は更なる整備も必要となる。

宿毛では船大工も呼んで弁才船の造船所も稼働を始めている。

弁才船は既に複数の土佐商人に貸し与えており、

宿毛、下田、須崎には次々に蔵が並んでいる。

長岡郡を掌握したので浦戸港の整備にも手がつけられるようになる。

そろそろ航路の安全を確保するために

軍船である安宅船や関船の配備も始めることが必要になりそうだ。


唐船の建造は巨大プロジェクトだ。

その納品には納屋の当主納屋宗次がやってきた。

中村城の下層は高級宿屋であるが、上層には大会議室や

来賓室もある。天守は許可なく立ち入りはできない。

その来賓室で納屋宗次と会った。天王寺屋の津田宗達もいっしょだ。


「納屋宗次でございます。お会いできるのを楽しみにしておりました」


『一条房基だ。こちらこそ。この度はご苦労だったな』


「これほどよい条件の取引相手はございません、

今後ともよろしくお願いいたします。

こちらは些少でございますが、お礼の目録でございます」


差し出された目録をその場で広げる。多くの品と巨額な金額が書かれてあった。

その場で引き裂いて投げ捨てる。

『私相手に二度とこのようなことはするな』


「申し訳ございません。」

額をすりつけて平伏する。


『建造に必要な対価を払った。それに見合う船を作ったのであろう。

手を抜いたのならば3隻目以降は博多に伝手を探さねばならぬ』


「決して手を抜いてはおりませぬ。お誓い申します」


『商人として正直なところを申せ、この金の意味するところは何だ?』


「こ、今後の末永いおつきあいを願ってのことでございます」

『これまでつきあった相手が悪かったのだと思うとしよう。

商売は正直が一番だと思っておる。長く続けるにはそこが基本だとな』


「まことおっしゃる通りでございます」


『天王寺屋や魚屋ともきちんと話をしておけ、見返りを求めたことは

なかったはずだ。もし、家臣や土佐の商人がそのようなことを

しておったならすぐに申し出よと伝えておけ』


「かしこまりました」


『出だしが悪かったな。しきり直すとしよう。

今回の唐船、とても嬉しく思っておる。

贈りものを渡すとしたらこちらから渡すのが筋だろう。

1つめはこれだ』


そばにあった長い箱を小姓に持たせて渡させる。

同じ長い箱から最近開発した望遠鏡を取り出し使ってみせる。


『このように使う。遠眼鏡と呼んでおる』


「こ、こ、これはすごい」


『航海するものにとってこれがどれほど重要なものかわかるであろう。

船長には厳重に管理させることだ。

おそらく弁才船1隻分くらいの価値はあるはずだ』


「こ、こ、これをいただけるので?」


『今回の唐船、大切な船だ。安全な航海は金では買えぬ。

少しでも手助けになれば安いものだ。

次に2つ目だが、船の名前だが”納屋丸”はどうだ?』


「な、な、納屋丸!!、よ、よ、よろしいので?」


『屋号のついた船だ。大事にしてくれるであろう?』


「も、も、もちろんでございます」


『3つ目だが』


「ま、ま、まだあるのでございますか」


『3つ目は情報だ。

まずは明や朝鮮との貿易で乗組員を育てることになるだろう。

左の襖の絵は四国の地図

右の襖の絵はこの日の本の地図。赤く塗ったのは四国だ。

中央の襖の絵は海の向こうの地図。赤く塗ったのが日の本だ。』


「こ、こ、これは真の地図でございますか?

日の本はあんなに小さいのですか?」


『信じるか信じないかは勝手にするがよい。

日の本が明と比べて小さいことだけわかればよい。

明へのこちらからの輸出品目は

銀、銅、鉛、硫黄、刀剣、漆器、屏風、扇子といったところだろう。

輸入しているのは生糸、絹、明銭、書物などだろう。

なぜ明は銀や銅や鉛を輸入していると思う?

日の本の銅には金や銀が多く混じっている。

明ではそれを溶かして金と銀を取り出しているのだ。

その技術のない日の本は食い物にされている。

 

できれば明との取引はほどほどにして

技術者や技術の書かれた書物を積極的に探して欲しい。

そしてゆくゆくは安南、暹羅、呂宋、交趾など

南の国との交易をして欲しい。

その時には琉球が重要な中継場所となるだろう。

琉球そのものは魅力的な商品がないかもしれないが

琉球の家畜や農産物であれば高値で買い取ると約束するので

琉球との交易路を習熟して、琉球から明へ向かう交易路を

確立してみてはどうかと考えている』


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

一条房基との会談を終えた津田宗達と納屋宗次の2人は

中村城内の一室で一息ついていた。


「参った」


「参ったか」


「あれは人か?」


「おそらく人だろう」


「3年前、魚屋といっしょに会ったときは8歳であった」


「更に大きくなられた」


「京の争いなど見ておられぬ。海の向こうを見ておられる」


「あの地図、本当か?」


「わしは房基様を信じる。はったりなどするお方ではない。意味もない」


「納屋丸とは羨ましい限りだ。」


「納屋丸を守るためにも。安宅船や関船の手配も命じられた。

船を材料に雑賀衆を取り込めとな。2手も3手も先を打たれる方だ」


「将棋の腕前もすごいらしい」


「この中村城もスゴいな。商人としての腕前もすごい」


「ここの布団と食事は絶品だぞ」


「中村は銭があふれているな」


「わしは更に多くの忍者を探すように頼まれた。お主も伝手があれば探してくれ。

前回探した際は騙されたから失敗は繰り返したくはない」


「遠眼鏡を含めても秘密が多いからな」


「遠眼鏡も羨ましい」


「お前も2隻目の唐船が完成したらもらえるかもしれぬぞ」


「天王寺丸か。一条は他の武家と違って堺を立てることをしてくれる。

表も裏も虫がつかぬようにせねばならぬな」

天文日記には1537年に房家が唐船を新造させていた記述があるらしいです。

また朝廷や興福寺には

朝鮮人参、胡椒、安麻面、豹の皮、唐犬を献上した記録も残っています。

土佐一条家が日明貿易(密貿易)を行っていたのは事実のようです。


ただ内政チートで莫大な資産を抱えているので

唐船の就航は前倒しでの実現としています。


面白いと思った方、

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