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戦国クラス転生  作者: 月本 一
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64 中村城と中村文庫

感想、誤字報告いつもありがとうございます。

(1533 秋 11歳)

 中村御所のすぐ北にある城は家老である為松氏の為松城と呼ばれた居城だった。

津野氏を下した後、津野氏の所領を為松氏に与え統治させることになった。

為松氏の所領は一条家の直轄地としたことで城も一条家預りとなり、

呼称も中村城とした。

 これを宿屋に改修した。主に中村に来た豪族などの国人や商人の宿とする。

戦となれば接収する。あくまでも一条家の所有で民間が運営。

来賓は一条家が費用負担するので収益はそれほど期待していない。

備蓄倉庫としても利用する。新たに増築する建物には天守を作った。

時代を先取りした「城」である。攻められることを考慮しない

シンボルとしての建物にしたのだ。

 もちろんはげしい反対はあったが、コストがかかるだけで

住むには不便な山の上の城が金を産むのだ。押し通した。


 複数の御用商人の共同運営で、普段は商人専用宿になっている。

招く側の商人達は自慢できるし、招かれる側の満足度も高い。

寝具は開発中の綿や羽毛の布団を利用し、

食事はこれまた開発中の味噌や醤油を使った最先端料理だ。

口コミが広がり、宿毛や須崎、土佐清水で所用が済んだ商人も

わざわざ中村まで足をのばしてこの高級宿を利用してくれるようになっている。

家老や国人も個人的に利用しているものもいるくらいだ。


 婚儀の際は来賓の宿舎となった。商人達には大好評で、

特産品の展示会場は大商談会場となっていた。

 婚儀にやってきた商家のうち一番の大店は京の吉田家だった。

京一条家の御用商人つながりでやってきたが、

中村の繁栄ぶりは想像以上だったらしい。

金にものをいわせて大石屋の清酒製法を入手するつもりだったらしい。

堺からきた商人達に話を聞くと、元は医術で財をなし、土倉(金貸し)で

大きくなった家らしい。


 中村文庫に案内することにした。中村文庫とは貴重な書物や文献など

後世に残すべきものを収集した図書館だ。収集した写本が中心となる。

写本を作る施設も併設しており、京一条家だけでなく書物の内容に

縁にある公家へ贈っている。大内や大友経由で入手した明の書物の多くは

技術書や医術書などだった。京からは和歌集や絵巻物などが集まっている。

中村に来た文化人や技術者は必ず中村文庫を案内して

新しい書物の寄贈の依頼や写本できる先の紹介をしてもらっている。


 吉田宗忠の屋号は角倉家という。

「この度はご結婚おめでとうございます」


『ありがとうございます』


「ゆっくりお会いする機会をつくっていただきありがとうございます」


『見ての通り若輩者です。吉田様に身になる話ができますかどうか』


「御所様にはなるべく早く家督を譲るおつもりだとお聞きしております。

土佐商人の皆さまからは一条家の隆盛は全て房基様のお力だと」


『そんなたいそうなものではございません。重圧におしつぶされそうです』


「誠に11歳とは思えませぬ。私と同年代かそれ以上のようです。

腹の探り合いはやめて本音で話をさせていただけませんか?」


『・・・・何がお望みですか?』


「やはりあなた様はスゴい! 清酒の製法を伝授していただきたい」


『無理と承知のはず、お寺さんの僧坊酒を探ったほうがよろしいのでは?』


「土佐酒が最も旨い。これを京でも作りたい」


『戦つづきで米が足りません。民を飢えさせてまで酒を作らせるわけにはいきません。

土佐でも民が食べる分の米の残りを酒造りにまわしています。

京から3年間飢えた民がいなくなったら無料でお教えしましょう』


「そんな日がくるとお思いですか?」


『ほんの数百年前にはこの世に武士などいませんでした。

この先数百年後には武士などいないかもしれません。

京から飢えた民がいなくなることは夢物語ではありませんよ』


「教えるつもりはないということですね」


『土佐が潤っているのは土佐酒が売れているからですので』


「参りました。石鹸や中村城にあった暖かい寝具の作り方は

いかがでしょう?」


『石鹸や寝具の作り方はお教えできますよ?』


「本当ですかっ! いかほどご用意すれば教えていただけますか?」


『ここは中村文庫と言って、将来に残しておきたい多くの書物を

保存保管している場所です。明の医学書の写本などもあります。

吉田様は医術にお詳しいとお聞きしています。

公開できる範囲でよいので、ご当家にある医術に関する写本を

こちらに寄贈していただけるならば無料でお伝えいたします』


「どうしてそのような条件で?」


『石鹸は汚れを落とします。これは病の元も落とします。

石鹸が巷にあふれれば病が減るのです。吉田様が石鹸をつくっても

こちらは吉田様よりも安く石鹸を売ります。

そちらが価格を下げれはこちらも下げます。

それでもよろしければ石鹸を作ってください。

寝具も同様です。あの寝具は人の命を救うことができます。

どちらも儲けるために作った商品ではないのです』


「・・・参りました。房基様は確かに一条家を継ぐにふさわしい方だ。

ご無礼を平に謝罪いたします。

どうかこれからも末永いおつきあいをさせていただきたい」


『こちらこそ生意気を申してすみませんでした。

これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします』

(国内医学書の写本ルートが確保できたのは大収穫だったな)

面白いと思った方、

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