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戦国クラス転生  作者: 月本 一
62/285

62 ●千利休の土佐日記 前編

感想、誤字報告いつもありがとうございます。

(1533 秋 ●千利休視点)

 一条房基様から婚儀の招待があった。

父田中与兵衛とともに土佐へ行くことになった。


 土佐一条家との取引は莫大なものとなりつつある。

魚屋(ととや)としては堺での塩魚関連の座と倉庫業が主なのだが

質のよい塩で保存された土佐の魚は人気だし、

何より土佐節は近年他の追随を許さぬ品質となっていた。

堺全体として、土佐からの輸入する商品は多岐に渡る。

人気なのは清酒や石鹸、椎茸や土佐節などだが

これに炭ごたつや洗濯板、鰹節の削り箱や扇風機などの木工品もある。


 房基様の婚儀には堺からもいくつかの大店が祝いの品とともに

向かった。皆、土佐一条の発展の秘密を知りたがっているのだ。


 土佐中村に着くと、中村御所と呼ばれるだけあって

整然と区画整理された街並みに驚かされた。

父などは田畑も綺麗に整えられていたことのほうに驚愕していた。


 婚儀までは土佐の御用商人の家に逗留させてもらい中村の街を

案内してもらった。父が望んでいた土佐節の生産場所である

土佐清水へは秘密保持のために部外者は立ち入りできなかった。


 中村に集まった商人達は中村城に集められていた。

周防大内、豊後大友の御用商人、堺からもいくつかの商家が来ていた。

何より父が驚いていたのは京の豪商吉田家が来ていたことだった。

中村城は城主が転封されて主不在となっており、

今回の婚儀では商人たちへの宿泊施設として改築開放されたらしい。

商人達が泊まる施設の隣には真新しい「天守閣」が建てられていた。

そちらには豊後からきた雪姫一行が宿泊されているという。

公家や武家に比べて身分がはるかに下としてみなされている商人に

城を宿屋として提供したのだから、皆とまどうばかりだった。

それでも土佐に地縁のなく泊まるあてのない商人たちは

最初から中村城に宿泊し、日中は城下に降りて、あちこち尋ね歩いていたらしい。


 婚礼前日、中村城の麓「武道館」との看板が掲げられた建物に商人達が集められた。

中は学校の体育館のようなつくりであった。勢ぞろいした商人たちのところへ

房基様が現れた。


『一条房基である。この度は、婚儀を祝うためにはるばる中村まで

きてくれて感謝している。 中村には皆を泊めるだけの宿がない。

そこで、むさ苦しい場所ではあるが城を開放することとした。

いたらないところもあるがどうか許して欲しい』


 商人たちに頭を下げる。とんでもないことをする!

主賓が商人に頭を下げるなんて!


『あらためて皆に集まってもらったのにはわけがある。

せっかくこれほどの商人たちが来てくれたのだから

土佐を売り込みたいのだ。壁際に土佐の産物をいろいろと用意させた。

興味がある商品があれば、土佐の商人たちにいろいろ聞いてくれ。

名前を書いた木の札を首からぶら下げているのが土佐の商人だ。

もちろん、土佐の商人だけでなく周防や豊後の商人とも交流して欲しい』


 とんでもないことをする! 大商談会場を用意するなんて!

爆弾を投げ込んだら、房基様はさっさと部屋を出て行った。

後に残された商人たちは皆が呆けて動けずにいた。

私は父をゆすって


「土佐節をよそに取られぬように担当者を捕まえていたほうがよいのでは?」


と言うとあわてて、土佐節のある区画に足早に向かっていった。

驚くことに土佐商人たちは名刺を用意していた。

自分の名前と扱っている商品、連絡先が書いてある紙だ。

名刺のように小さいものではなくチラシに近い大きさだった。

とんでもないことをする! たぶん今後、堺や京でも流行るに違いない。


  土佐の武士に声をかけられ、別室にいる房基様に一人だけ呼び出された。


「久しぶりだな。元気にしていたか?」


「お招きありがとうございます。この度はご結婚おめでとうございます」


「ありがとう。でも政略結婚だし、相手は10歳の少女だ」


「そのあたりは史実通り、ということですか?」


「おそらくね。そこまで詳しく知らないんだよ。

でも、いろいろとやらかしているからこの婚姻は早まってのことだと思う」


「やらかしたとは?」


魚屋(ととや)に売っている土佐節は100年以上先の技術のはずだし、

清酒も石鹸も椎茸も土佐の売れ筋商品の多くもそうだ。

洗濯板や手動脱水機なんかは昭和初期まで使われていた商品だしね」


「確かに」


「与四郎(利休)も史実では土佐に来たことはなかったはずだ。

堺でも史実と違っていると感じたことはないか?」


「私は特に発明したものはないですね。

でも、津田宗及や今井宗久と出会うのは早まっているでしょうし、

私の最初の師匠の北向道陳から武野紹鴎に紹介されるはずが

房基様の紹介で先に武野紹鴎に会うことになるかもしれません」


「何かこの時代にも通用するような発明に心当たりはないか?」


「儲け話ですか?」


「何するにしても金がかかる。この時代の命の重さは軽すぎる。

土佐や京だけでない、堺でも多くの人が死んでいるだろう。

私には医療に関する知識がないんだ。石鹸や浄水装置などでの

衛生面の向上くらいしか打つ手がない」


「私もただの英語教師でしたから。医療なんかさっぱりです」


「女性ならではの妊娠や出産に関する豆知識程度でもよいから

思い出したことがあれば何でも書いて送って欲しい。

他にも何かアイデアがあればそれも頼む。

美容関係やアクセサリー、なんでもいい」


「わかりました。真剣に考えてみます」

面白いと思った方、

ブックマーク、ポイント、いいね、いただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
最新話まで読んでなんとなく主人公の性格を掴めてきたので、前のコメント撤回しました、腰が低いのは侮られたところでどうでもいいと思ってるか、それさえ計算に入れてるかもしれませんね、そもそも覇者になりたいと…
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