61 婚儀
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(1533 秋 11歳)
11の少年と10の少女の結婚。
祖父や父は盛大にやりたがったが、雪姫の大友家内の立場が弱く、
いっしょに来た兵や側仕えも少なかった。
一条側は御一門衆と四家老の当主のみを臨席させることでバランスを取った。
それに婚儀が終わったら、土佐中央部への進軍で初陣が決まっている。
婚儀のリハーサルよりも、戦の前準備のほうが忙しいくらいだった。
本山氏と長宗我部氏との前線にあたる吉良氏の弘岡城や大平氏の蓮池城は
強固な作りに改築中で足軽衆も多く配備して城づくりの手伝いをしている。
宇佐と須崎の港にも物資の集積用に多くの蔵を建設中だ。
大平氏と吉良氏は降ったが、本山氏と長宗我部氏は1年経っても態度を
はっきりさせていない。こちらとしても期限は決めていなかったし、
お互いを牽制させることにもなるからしばらくは放置していた。
今回の婚儀には各地の国人を招待している。その間は攻めてくることもないだろう。
本山氏と長宗我部氏は当主は列席せず、家老クラスが代理で来るようだ。
忍者衆によれば家中でもめているらしい。好都合だし、そこにつけ込む。
建前としては土佐中央に伸長してきた本山氏が一条に臣従した吉良氏の土地を
不当に奪っていると難癖をつける形で戦をふっかける。
長宗我部氏は本山氏との戦の進行次第ではあるが
婚儀へ列席しなかったことで大恩があるのに反意アリと難癖をつけるつもりだ。
中村御所はお祭り騒ぎだ。秋の収穫祭とあわせてお祝いムードに
盛り上がっている。御用商人たちも競ってお祝いの品を届けてくれていた。
雪姫とは婚儀の場のリハーサルで初めて会った。1つ下のかわいらしい娘だ。
前世では一男一女をもうけていたから結婚相手というよりも
自分の娘とかさねて見てしまいがちになる。
『いたらぬところもあると思うが、幾久しくともに歩んでくれ。』
「ふつつかものでございますが、よろしくお願いいたします。」
会話できたのは、ただそれだけだった。
後は長い長い格式ばった式次第をこなすだけで精一杯の2人だった。
式が終わって酒宴が始まると、疲れからか雪姫は眠くて舟をこぎだした。
ひとあし早く寝所にさがらせた。
私ひとりで皆の酒の肴にされて気が付いたら朝だった。
翌日は牛車にのって、不破八幡宮までパレード。
事前に配布しておいた小旗をふった民が沿道を埋め尽くしていた。
不破八幡宮でお参りした後は、舞台での猿楽や神楽の鑑賞。
不破八幡宮には来賓用の宿泊施設をつくっており、そこで一泊。
夕刻には河原で予定通り花火を打ち上げた。
翌々日には中村御所に戻った。
行き帰りの牛車の中は私と雪姫と玉姫の3人。
雪姫に中村の街、四万十川の話、その堤の話、田畑の話、舞台の話など、
とりとめもなくあれこれと話をする。
義母となる母と少しでも仲がよくなるようにホストに徹した。
母玉姫は娘ができたようで、とても嬉しがっていた。
雪姫はまだぎこちないところもあるが目にするものがあれこれが珍しいようで
よく質問してくれる賢そうな娘だった。なんとかやっていけそうだ。
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