57 家臣掌握
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(1533 夏 10歳)
一条家当主房家が重臣を集めた評定で婚儀を発表した。
「房基の婚儀を進めることになった。
この秋、吉日を選んでかねてより婚約しておった大友の雪姫との婚儀を執り行う」
「「「おめでとうございます。」」」
「年が明けてからわしは隠居して、房基に家督を譲る」
場が騒然とするが、長くは続かない。
四家老を始め、御一門衆には話を通していたのだろう。
驚いた者たちも周囲を見回して、決定事項なのだと悟る。
「房基、何か申せ。」
『賛同していただきありがとうございます。
ですが、年が明けてから家督を相続するのは
父房冬としていただきたいと考えております。
・・・・まずは私の話を聞いてください。
津野、大平、吉良と相次いで臣従させました。
父には土佐を平定した当主となっていただきたい。
その後で私が継がせていただきます。
後2年待っていただきたいのです。』
「2年で土佐を平定するつもりか? できるのか?」
『秋の婚礼には有力な国人たちを招待します。
本山、長宗我部、香宗我部、安芸、山田、
来なければそれまでの家とみてよいでしょう。
来たら来たで心を折ります。
大平や吉良のように戦わずして臣従してくるものも出るでしょう。
臣従しなければ津野のようにねじ伏せるだけです。
戦になれば皆さまにはご助力いただくことになります。
土佐平定後は伊予に向かいます。
水軍も作ることになるでしょう。
ゆくゆくは伊予・讃岐・阿波を平定するつもりです。
10年以上は戦うことになるでしょう。
そのためにはもっともっと銭を稼ぐ必要があります。
銭勘定に熱心な小僧と思われている方も多いでしょう。
ですが、万の兵を動かし、食わせ、戦わせ、治療するには
今以上に稼ぐ必要があるとわかって欲しいのです』
「万の兵とは大きく出たな。楽しみじゃ。
皆のもの2年じゃ、2年つきあってやってくれぬか。
共に夢をみようではないか」
「「「ははぁ」」」
一同がその場で平伏した。
『これから数日かけて、皆と一対一で話しあおうと考えております。
それぞれの想いを遠慮なく聞かせてもらうつもりです』
こうして家督相続は土佐平定後と保留させることができた。
四家老や御一門衆だけでなく、一条殿衆と呼ばれた
57の家の代表との面談が始まった。
まず最初にはっきり伝えたのは、戦や文官仕事などで功績が
あっても褒賞で土地を与えることは考えていない、ということ。
土地を与えられても管理する能力があるとは限らないし、
管理する人員が手配できるとはいえない。褒賞は銭で行う、ということだ。
これまでの土地を離れて、遠い土地へ移ってもらうこともある。
転封だ。土佐平定だけでなく、四国平定、九州や中国、畿内に進出
することを想定してもらう。先祖伝来の土地に固執せずに
自らの才覚で広くて豊かな土地を手に入れてこそ男冥利に尽きるのだと
誘導しておいた。いずれにせよ今はまだ絵に描いた餅でしかない。
どうせ描くならば大きな餅を見せてやる。
できれば大平や吉良のように戦わずして勝ちたいが、
戦いたい者には戦う相手と戦う場所を必ず用意してやる、と話をした。
頭の中まで筋肉な脳筋や、戦闘狂な人間は少なからずいる。
細川や大内や大友など強大な勢力はすぐ近くにあるので相手には困らない。
こうして数日かけて100人近い相手と面談を行った。
おおむね好印象をもって受け入れられているようだった。
一番多かったのは私の足軽衆たちの訓練に参加したい
という希望者が多かったことだった。
これまでは祖父房家の家臣という立場から
私の部隊に声がかけづらかったようだ。
訓練キャンプの編成の大幅な見直しが必要になりそうだった。
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